診療日誌1 ~美容外科医の2日間・2日目~



7月18日
本日は休診日でしたが、午前中クリニックに出て仕事をしていました。
昨日埋没糸抜去を行った患者様から電話がかかってきました。

埋没糸抜去を行ったら二重が元に戻って小さくなってしまったので、二重を大きくしたい。
何時になっても良いから本日埋没法の手術をしてもらいたい。

しかし、本日、昼は勉強に出かけ、夜はセミナー、その後、やはりこの日
どうしても手術をして欲しいという患者様の手術が控えていました。

「夜9時半から切開法の手術があるので、
どうしても今日やるなら夜11時になってしまいますよ」
それでも良いからやって欲しいとのこと。私は引き受けました。

昼は、免疫療法で有名な阿部先生のクリニックで
少し遺伝子の勉強をさせていただきました。

夜は、東京ミッドタウンメディカルセンター主催の
“Total Anti Aging Seminar”でした。

ここでも田口先生の「遺伝子検査でどこまで分かるのか? 最新の遺伝子医療」と、
遺伝子のお話がありました。
最新医療を追っていくのに、遺伝子の知識はどうしても欠かせません。

そして、アメリカのJohns Hopkins University顔形成外科・皮膚科の准教授
Dr.Patrick Byrneの
「最先端の顔面再建術と最先端の美容医療」のお話がありました。

形成外科的な再建のお話もすごかったのですが、
私にはやはり自分も関わっている
顔のデザインについての話が興味深かったです。

Dr.Byrneは、顔のデザインを考える時、
美しさの基準として考えるべき4つの要素を挙げました。

1.Similarity(対称性)
2.Averages(平均)
3.Youth(若さ)
4.Sex Dimorphism(性差)

Sex Dimorphismとは、女性は女性らしく、
男性は男性らしく見えるようにすると美しく見えるということで、
私にとって分かるようで分からない説でした。

私は、アメリカの人相学・パーソノロジーを学びました。
その中で人相の性差という項目があり、男女の人相の違い学びましたが、
その知識を使ってもピンとこなかったのです。

もっとSex Dimorphismについて具体的に知りたいと思いました。

「今回のセミナーは夕方6時から始まり、予定終了時間が8時半と遅いので
質問する時間は一切ありません。質問がある先生は質問用紙を用意したので、
そこに質問の内容とメールアドレスを書いておけば回答します」
と主催者側から説明がありました。

しかし、そんなことで引き下がる私ではありません。

現代社会はどんどん不確定要素が増えています。
ルールを守るのが正しいというのは、古い考え方です。
秋葉原の交差点で起こった事件のように、
信号を守っていても相手が突っ込んでくることもあります。

信号を守るから正しいとか安全だとは言えない時代なのです。
赤信号を渡っても安全なこともありますし、青信号でも
状況によっては交差点を渡ってはいけない場合もあるのです。
自己責任で判断を下し、自分のリスクは自分で負うというのが、
現代社会に合った考え方だと思います。

私は、急いでいる時は信号を守らないこともあります。
しかし、近くに小さなお子様がいて見ている時は、急いでいても我慢します。
大人は状況判断できますが、子供は状況判断ができません。
赤信号なのに横断歩道を渡っても良いという姿は
子供の教育上、見せるべきではないという見地からです。

つまり、他人に迷惑をかけてルールを破るのは良くないが、
他人に迷惑をかけないのなら、自己責任でルールを破って良いというのが私の考えです。
さらに、このような既成概念を破る考え方が、
イノベーション(技術革新)を引き起こすのに不可欠だと考えています。

私が勤務医だった頃、全国展開していた勤務先の宮崎院が閉院になる予定がありました。
私は閉院間近の宮崎院に出張していましたが、
カウンセリングでエラ削りをやりたいという患者様がいらっしゃり、
宮崎院が閉院するのでどうしようかという話になりました。

私は、交通費を出すから東京院まで来て手術を受けたらどうかという提案をしたいと思い、
当時の上層部とかけあってみたのですが、ダメだと言われました。
ルールを守るためにみすみす100万円の手術を逃したのです。
なんて馬鹿な人たちだと思いましたが、やはり倒産してしまいました。

私は、自分が開院した時、その時の発想をもとに交通費支給制度を作りました。
遠方の方なのにわざわざ来て下さるというのであれば、
交通費をお支払いしてでも来ていただけば、お互いメリットがあるのです。
ルールは守るべきだという発想に囚われていたら、生まれませんでした。

今回も、私がDr.Byrneに質問したところで、誰にも迷惑はかかりません。
しかし、私は厚かましい人間ではありませんので、ルールを破るには勇気が要ります。
「自分の質問が、明日から自分の患者様たちの診療に役に立つのだ」と
自分に自己暗示をかけ、モチベーションを上げてからDr.Byrneのところへ向かいました。

セミナー終了後、Dr.Byrneと一緒に写真を撮りたいという人たちがいたので、
その人達の写真撮影が終わるのを待って質問したのですが、
会話の途中でまた後ろにズラッと写真撮影したいという人たちの列ができているのです。

ルールは破っても良いが、他人に迷惑をかけてはいけない。

私は、“Please go ahead(お先にどうぞ)”と写真撮影を優先しましたが、
Dr.Byrneは、写真撮影中も私の質問にずっと答え続けてくれました。

カルフォルニア州出身のDr.Byrneですが、アメリカ西海岸の気質を持ち、
みんなを良い気持ちにさせるNice Guyなのです。
私もすぐに彼のファンになりました。

質問が終わり、私も写真撮影してもらいました。



dr_byrne.jpg



肝心の私の質問のSex Dimorphismですが、
Dr.Byrneが考える女性らしさの特徴を挙げてもらいました。
瞳の大きさ、顎やエラの形、鼻の形、唇の厚さなどおっしゃる中で、
私にはひとつの女性像が浮かんできました。

それは、ナタリー・ポートマンです。



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イギリスのウエディング雑誌で結婚したいセレブNO.1に
選ばれたナタリー・ポートマン



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確かに女性らしい、美しい顔立ちです。
私も、映画スター・ウォーズで彼女を観た時、なんて綺麗な人なんだろうと思いました。

Dr.Byrneは唇が厚いと女性らしいとおっしゃったのですが、
唇が厚い女性の代表と言えば、やはりこの人です。



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アンジェリーナ・ジョリー



しかし、唇が薄い美人もいます。

私が以前、世界の美女研究で均整美を持つ女性として挙げたシャリーズ・セロン、




theron0724_con.jpg




そして、ドイツ系美人のダイアン・クルーガー。  



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女性的特徴を持たないと、いわゆる男顔になりやすいのですが、
男顔に案外、美形が多いものです。
女性らしい特徴が美につながるという説に私は納得できませんでした。

上に挙げた女性たちは、美形の女性ばかりですが、よく見ると
それぞれが自分らしい顔を持っているのです。

アンジーの唇が薄かったら、アンジーの魅力は激減するでしょう。

今回、この記事を書くにあたってもう一度、シャリーズ・セロンの画像を
いくつも見直してみましたが、彼女はその時々によって、メイクで(整形で?)
唇の厚さを変えています。
それでもやはり、彼女の魅力の本質は唇が薄い感情を抑えた知的な雰囲気だと思うのです。
そして、彼女の唇が厚くなれば、自分らしさを失ってしまうことでしょう。

それぞれが自分らしい顔を持っていて、それを生かしている。
だから、活躍しているのです。

目白ポセンシアクリニックでは、それぞれの顔に合ったパーソナルデザインを
提唱していますが、やはり私はパーソナルデザインをこれからも追求していこうと思いました。

夜8時半に六本木でセミナーが終了し、急ぎ足で目白に戻りました。

9時半から二重の切開法の手術を行い、11時から埋没法の手術を行いました。

どちらの手術も腫れが少なく終わりました。
特に埋没法の患者様からは、前回の他院での手術と全然違い、
自然な仕上がりだと喜んでいただきました。

「先生、こんな夜遅くにありがとうございました」
「これまで夜10時が最終受付時間の記録でしたが、今回、記録を更新されましたね」

今でも、繁忙期など夜9時スタートは時々あります。
開院当初は夜10時受付もやっていたようです。私は忘れていたのですが、
リピーターの美容師の患者様から仕事が終わってから行きたいので
夜10時からやって欲しいと言われ、夜遅すぎるからとお断りしたら
以前はやってくれたと言うのでカルテを見てみると、確かに夜10時からやっているのです。
昔の自分って頑張っていたんだなと思いましたが、もう若くないので、
なるべくそのような無理は控えるようにしています。
しかし、今回のようにどうしてもという状況になれば、
性格的に断ることはできず、挑んでしまいます。

我ながら無茶をするなと、自分でも時々思うのですが、
他人から望まれると仕方なしに行うことが多いのです。
患者様が来なくて消滅していくクリニックもあるというのに、
このように必要とされているのは嬉しいことです。

皆様、ご来院ありがとうございます。
今後も変わらぬご贔屓(ひいき)をお願い申し上げます。

夜11時より始めた患者様より手土産をいただきました。
ありがとうございました。



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プロフィール

永久 晶浩(ながひさ あきひろ)

Author:永久 晶浩(ながひさ あきひろ)
国立神戸大学医学部卒業
目白ポセンシアクリニック院長
https://ssl.possenssia.com/profile/
心のあり方まで含めた「美」についての総合研究者

古代ギリシアから現代アートまで古今東西の芸術的文化を研究している

主な著書に「アルファ型美人のすすめ~愛される美人vs.愛されない美人~」「『NO』と言えれば人生は開ける」

診療日誌を日々更新中

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