エンジェル・サージェリー ~亡き義母のために~



目白ポセンシアクリニックでは、患者様のご家族や友人も
カウンセリングに同伴できる公開医療を行なっているため、
これまでも多くの親子連れの患者様がいらっしゃいましたが、
今年に入ってから、特に母子で来院される患者様が目立っています。
今回は、その中でも特に印象深かった母子を何組か挙げてみます。

春になると、目白ポセンシアクリニックには都内の大学に
合格した患者様がお母様と一緒にお見えになられます。
先日も、近くのアパレルの店員さんと道ですれ違った時、
「先生のクリニック有名ですね。
この前、地方から来られた親子連れの方が大学に合格したから
東京に来たと言って、うちのお店で買物をして帰られました。
その時、今、先生のクリニックで手術を受けて来たところだと言ってましたよ」
とおっしゃっておられました。

術後しばらくは買い物は控えるようにお伝えしているのですが、
私のクリニックは腫れが少ないので、
このように術後すぐに買い物に出かけられる患者様の話をよく聞きます。

1月と言えばまだ受験シーズン前ですが、すでに推薦入学で日本で最も
最難関のひとつである学部に合格されたお嬢様が、北陸地方から
目白ポセンシアクリニックにカウンセリングにお見えになられました。

一見してかわいいお嬢様でした。
そしたら案の定、中学時代からすでに芸能活動をしていたとのこと。
将来、アナウンサーになりたいので、この機会に整形をしたいとのことでした。

「有名大学に入学されて、こんなにかわいいのなら、顔、頭とも問題ないでしょう」
と私が言うと、
「先生、それが周りがかわいい子ばかりで困るんです。
うちの子にも、もっとかわいくなってもらわないと」
と、目力をつけるため、眼瞼下垂の手術をお受けになられました。

術前だけでなく、術後もちょっとでも良い結果になって欲しいからと
毎日のように鍼治療に母子で通われました。
私もお母様の熱心さに感心させられ、少しでも良い結果になるよう
特別な薬やサプリメント類などもサービスでお渡ししました。

その後、中部地方から、ビジュアル系の音楽活動をしておられる
娘様のためにと、お母様が娘様を連れてご来院されました。

2月のバレンタインデーには、目白ポセンシアクリニックで
手術をお受けになられた7歳の患者様のお母様が
チョコレートとお菓子を送って来て下さいました。
包装を開けると、お嬢様のバレエの発表会の時の写真が
プリントされた紙でチョコレートが包まれていました。
お母様の娘様を想う気持ちを微笑ましく感じました。

このように、お子様の美容整形は年々、増えて来ています。
昔から教育熱心なお母様はいらっしゃいましたが、
今の時代、勉強や習い事だけでなく、美容整形も
子供の教育の一環として組み入れられつつあるのかもしれません。

つい最近のことですが、目頭切開の手術を5回くらい
やっているという患者様が母子で九州からお見えになられました。
こういった修正を繰り返していらっしゃる患者様の場合、
まず医師に対する不信感があります。
良くなりたいと思う反面、誰も信じることができず、
その矛盾に葛藤されるのです。

カウンセリング時にお世辞や美辞麗句など甘い言葉をタラタラ言う
ドクターもいますが、私のカウンセリングは常に辛口です。
正直にできること、できないことをお伝えします。

カウンセリングでひと通り説明しても、この患者様はご納得されませんでした。

「先生、最後まで責任を取ってやってくれるんでしょうね」
「『最後まで責任』ってどういう意味ですか?
手術前にしっかりと時間を取ってお話を伺い、
ご要望をしっかりと確認してから手術をしています。
先ほどお伝えしたように、手術中鏡を見て確認していただく
ミラーチェックも行なっています。
そして、それでご納得いかない場合はその場でやり直しています。
ここまでやってくれるクリニックは、なかなかないですよ。
私は自分が思いつく限りのベストを尽くしています。
これ以上、何を求められているのですか?
医療なのだから、できることとできないことがあります」

「手術って難しいんでしょ」(私にはこの質問の意図が分かりませんでした)
「手術は当然、難しいです。
簡単な手術なら、こんなに何度も手術を受けておられないでしょうし、
わざわざ東京まで出て来られなかったんじゃないですか」
手術は簡単だよって、安心させてもらいたかったのかもしれませんが、
私は常に真実を言うだけです。

私があまりにも真実を言うので、これまでの患者様の中には
怒り出して帰られる方もいらっしゃいました。
その後、他院のカウンセリングでうまいこと言われて
手術を受け失敗されたり、何年もしてから、
「先生、やっぱり私が間違っていました」
と言って、ご来院された患者様もいらっしゃいます。

私にとって、その場で一時的に好かれるか、嫌われるかは問題にしていません。
それよりも、その人にとって、本当に必要なこと、
本当に大切なことをきちんとお伝えしたいと思っております。

いよいよ手術が始まり、ミラーチェックになりました。
「先生、傷跡ってこんなに小さくて分からないものなんですか!!」
「通常の逆Z法や古川氏法などの修正方法では、傷跡が目立ち過ぎます。
そのため、傷跡が目立たない修正法を私が考案しました。
このやり方は日本でここでしか受けることはできません」
と、私はお伝えしました。

患者様が、
「目頭が自然な感じになりましたね! 先生は手術がうまいかも。。。。」
とおっしゃったので、私は少しおどけながら
「『かも。。。。』じゃない」
と言うと、「先生は手術がお上手なんですね」
と笑いながらおっしゃいました。
それまで緊張されていましたが、このように笑いが出て緊張がほぐれてくれば、
精神的にもかなり良い方向に向かっています。
無事、手術を終えることができました。

「先生、ありがとうございました」
と言って帰られようとするので、
「本当にお礼を言うべき相手は私ではなく、お母様ですよ。
私は数時間だけのお付き合いですが、お母様は、
こうやってわざわざ一緒に九州から出て来て下さり、
何年間も自分の子供のためにお付き合いしてくれたのですよ」
とお伝えしました。

後日、お母様が来院時に私に手紙を渡してくれました。



haha1.jpg



さて、今回のテーマは、「母」ですが、ここからしばらくは
義母のことについて書かせていただきたいと思います。

私の義母は、上品で美しい女性でしたが、昨年、脳梗塞で他界しました。
常に他人に迷惑をかけたくないと言っていた義母は、
他人が何かやってあげると、「悪いわね」というのが口癖で、
夫を失い、高齢になっても事業を営んで子供の世話にはならず、
悠々自適の生活を送っていました。

それまで元気にしていましたが、脳梗塞を発症して
わずか1ヶ月であっという間に亡くなりました。
義母は、死に顔を他人に見られたくないと言って、死んでいきました。
若い頃、女優の原節子さんのような顔立ちの美人であった義母にとって、
わずか1ヶ月の入院でしたが、入院生活によってやつれ果てた死に顔を
他人には見られたくなかったのだと思います。



hara2_convert.jpg
原節子さん



そこで、私は最後の親孝行をしようと思ったのです。
亡くなった人の顔や髪の毛を整えるメイクを
エンジェル・メイク(死化粧)と言います。
私は、エンジェル・メイクではなく、
エンジェル・サージェリー(死人に対する美容整形)を行うことにしたのです。

疲れ果てて痩せこけた頬、深くなってしまったシワ、
胃管(胃に通す管)によって曲がってしまった鼻スジ、
そして遺体となって時間が経過することによって生じる目のくぼみ。

遺体整復師の方と協力し合いながら、何時間もかけて遺体の修復にあたりました。
まず、フェイスリフトを行い、全体を整えます。
フェイスリフトで足りない部分にヒアルロン酸を注入し、
頬を膨らませ、法令線を浅くし、シワをなくしていきます。
曲がった鼻もヒアルロン酸注入でまっすぐ見えるようにし、
くぼんだ目にもヒアルロン酸を注入して生前の状態に戻しました。
その後を整復師の方がお化粧でカバーし、
闘病生活後の死に顔には見えない美しい顔になりました。

しかし、これは身内だからこそ出来たことです。
惜しみなく時間を使い、通常の診療で使う何倍もの
ヒアルロン酸を注入し、フェイスリフトまで行う。
もし他人から同じ事を頼まれたら、遺体のある場所まで
出張しなければいけないことも考えれば、何百万円単位で
請求書を出すことになるでしょう。

葬儀に参加された方々からも、
20歳以上若返ったと絶賛していただきました。

女性はいつまでも美しくありたいと願っています。
死ぬ間際まで、そして今回のように死んでからでさえ美しくありたいはずです。


これまで美しくなりたい女性をサポートしてきましたが、
その技術を使って死んでからもひとりの女性を美しくできたことは、
私にとってもひとつの大きな経験であり、
また最大の親孝行をさせていただけたのではないかと思っております。



mother.jpg
もうすぐ母の日ですね


目白ポセンシアクリニック




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コメント

§

涙が出てきました。義母さん、よかったですね。先生すごいです。としか言葉が出ないけど。いい話読ませていただきました。

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プロフィール

永久 晶浩(ながひさ あきひろ)

Author:永久 晶浩(ながひさ あきひろ)
国立神戸大学医学部卒業
目白ポセンシアクリニック院長
https://ssl.possenssia.com/profile/
心のあり方まで含めた「美」についての総合研究者

古代ギリシアから現代アートまで古今東西の芸術的文化を研究している

主な著書に「アルファ型美人のすすめ~愛される美人vs.愛されない美人~」「『NO』と言えれば人生は開ける」

診療日誌を日々更新中

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