ドイツ医学視察レポート ~ゲーテ大学放射線科教授Professor.Voglを訪問~



今回は、昨年の秋に行ってきたドイツ語圏の旅についてレポートします。

かつてドイツと言えば、医学の最先端の国でしたが、
現在でもドイツ人の精密な思考をベースとして独自の発展を遂げています。
アメリカ医学に慣れ親しんでいる私達日本人医師にたくさんの刺激を与えてくれます。

今回は、ドイツはフランクフルトにあるゲーテ大学放射線科教授Professor.Vogl、
そしてバーデン・バーデンにあるDr.Jacobのクリニックを訪れるために日本を旅立ちました。

まずは、スイスのチューリッヒへ飛び、そこで3日間滞在して
ドイツ語のトレーニング、時差ぼけや体調の調整を行い、
万全の体制でドイツへ向かう手はずを整えました。

チューリッヒでは、Widder Hotelに泊まりました。



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Widder Hotel外観



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Widder Hotelロビー



Widder Hotelは、かつてタウンハウスとして使用されていた
7つの歴史的建築物を組み合わせ、ひとつのホテルとして改装したユニークなホテルです。
隣接して建つ外観の異なる7つの建物にまたがり、
ホテル内のパブリックスペースや客室が存在しています。
そのためパブリックスペース、客室ともに空間ごとに全く異なるデザインが採用され、
さまざまな雰囲気のデザインが混在しています。



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全49室ある客室は、客室ごとに大きくデザインが異なり、
中世を想起させるようなクラシカルなデザインの客室から、
現代的なデザインで統一された客室までさまざまな部屋がある
個性的なホテルです。



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ホテルに図書室があります



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私は、パリのリッツ・カールトンをはじめ、
いくつものいわゆる5つ星ホテルに泊まりましたが、Widder Hotelは、
同じ5つ星ホテルでありながらそれらのホテルとは雰囲気が全然違います。

豪華感はあっても個性的でゆったりとできるこのホテルの評価は、
泊まる人によってまっぷたつに分かれるのではないかと思います。

高級ホテル慣れしている人たちからは、なんてくつろげる
アットホームで居心地良いホテルだろうと思われるだろうし、
まだ高級ホテルから卒業していない人たちからは
物足りないと思われやすいホテルだと思うのです。



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ウエルカムドリンクと手紙で暖かく迎えていただきました



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部屋のテーブルでひと仕事です



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仕事が終わってソファでひと休み。
外出しなくても1日ホテルの部屋でくつろげる。
そんな素敵なホテルです



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チューリッヒは気候のせいか、喉が乾きやすかったのですが、
ちょっと外出するとサッと部屋に飲み物が用意されています。
こんな細やかな気遣いが部屋の居心地を
さらに良くしてくれているのだと思います。



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チューリッヒの街並み1



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チューリッヒの街並み2



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チューリッヒの街並み3


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チューリッヒの街並み4



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スイスのテディ・ベアー



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教会



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チューリッヒの街並み5



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教会見学の後は喫茶店へ



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疲れが溜まっていた私は甘いドリンクを注文しましたが
なんと隣では昼間から3人組の男性が
マカロンをつまみながら会話していました。
私はその姿を見て、日本では絶対に
あり得ないであろう光景に唖然としてしまいました。



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せっかくスイスに来たので、夜、郷土料理である
チーズ・フォンデュを食べに出かけました



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チューリッヒ夜の街並み1



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チューリッヒ夜の街並み2



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チューリッヒ夜の街並み3



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チーズフォンデュ



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ビーフ・ストロガノフ



3日間、チューリッヒでゆったりと過ごした後、フランクフルトへと北上しました。



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チューリッヒ中央駅



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アルプスの少女ハイジに出てきそうなスイス・パンがありました



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実は、今回の旅のためにドイツ語の電子辞書を買いました。
電車の中でもドイツ語の特訓です



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ちょっと休憩



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さらに休憩



フランクフルトではSteigerberger Frankfurter Hofというホテルに滞在しました。



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Steigerberger Frankfurter Hof外観



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ホテル・ロビー



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こちらのホテルのウエルカム・ドリンク


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ホテルの部屋に入ると"Welcome Mr.Akihiro Nagahisa"(永久晶浩様ようこそ)の表示が



夜、Dr.Flurerから食事をしないかと電話がかかってきて、食事をしました。



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夜のフランクフルト



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トルコ風のドイツ郷土料理



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翌日、ゲーテ大学のProfessor.Voglを訪れました。



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ゲーテ大学の大学病院正面玄関


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大学病院エントランス吹き抜け・病院とは思えないモダン・アートな造りです



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病院受付



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教授室の入り口には世界各国からの表彰状や感謝状が所狭しと並べられていました



Professor.Voglは、化学動脈塞栓療法で世界的に有名なドクターです。
化学動脈塞栓術とは、癌を栄養する動脈に抗癌剤を注入し、
癌を局所的に高濃度の抗癌剤で攻撃する方法です。

通常の抗癌剤は全身にゆき渡るため、高濃度の抗癌剤を使うと
身体が耐えることができませんが、選択的に動脈に抗癌剤を注入することによって、
総量としては少ない抗癌剤で高濃度に癌の部分を攻撃することができるのです。

化学塞栓療法は、日本では肝癌や舌癌などまだごく一部の癌にしか
使われていない方法ですが、Professor.Voglはいろんな箇所への
化学塞栓療法を行なっています。



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Professor.Voglと教授室でのミーティングです



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私は、日本を発つ直前にProfessor.Voglについて、
Websiteを通じてひと通り調べていきました。
ディスカッションの中で、Proffesor.Voglの最新の仕事について触れると、
「どうしてそんなことを知ってるのだ」と教授はびっくりしました。
Dr.Flurerも、自分も知らないことを私が知っていると
びっくりしていましたが、現在はインターネットの時代であり、
その気になれば、かなりの部分まで情報を入手することができる時代です。

こんな時代を生きていく上で、まず大切なのは、
自分で可能な限りの情報を得る努力をすることです。
それと同時に、自分がどの情報を入手するのか、
前もって基準をつくっておかないと、
情報が氾濫してしまって収集がつかなくなってしまいます。

例えば私であれば、他人のブログはほとんど読みません。
Twitterもfacebookもやってません。
(facebookはいつか少しはやりたいと思っていますが、まだ手付かずです)
そうやって自分が得る情報を制限しておかないと、
情報に振り回され、それだけで1日が終わってしまい、
自分のやりたいことややるべきことができなくなってしまいます。

ブログを書くのも、月1~2回、多く書いてもせいぜい3回です。
それ以上書くと自分を成長させるための時間がなくなってしまいます。
患者様が楽しみにされていますし、私のブログを読んで
目白ポセンシアクリニックで手術を受けることを決めたという
患者様も多いので、私もブログには力を入れて
読者の皆様のためになるような内容を書いてはいますが、
多くても月3回までとさせていただいています。

ミーティングが終わると、実際に手術室へ移動して、
Professor.Voglの手術見学となりました。



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ドイツ最先端の画像診断
日本よりずっと鮮明な画像で病巣をみることができます。



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Professor.Voglは手術の手際が良く、患者様ひとりにつき数分で手術を終え、
一日にすごい数の手術数をこなしています。
手術室の外から何件かの手術を見せてもらった後、
私はコーディネーター役をしてくれているDr.Flurerに言いました。
「実際に手術室の中に入って手術を見てみたい」
Dr.Flurerは手術室に入るには手術着を着ないといけないし、
無理だろうと言うので、私は手術着は持ってきたと伝えました。
Dr.Flurerはそんなに言うなら、直接教授に言ってみたらと言うので、
手術着に着替え、教授に
“Dalf Ich in der Saal mitkommen?” (手術室に一緒に入って良いですか?)
と聞きました。
教授は、“Keine Problem.”
と、手術室に入るのを許可してくれました。

私は、今回訪問した日本人医師の中でただひとり手術室に入ることができました。
よく私のことを運が良いと言う人がいます。
そんな人に私は、
「運が良いのではありません」
と否定します。
前回のブログでも先手を取ることの大切さを書きましたが、私は準備していたのです。
できるかどうか分からないけど、手術室に入れるチャンスが
あるかもしれないから、とりあえず手術着を持っていっておく。
そして、教授にお願いする度胸を持つ。
そのふたつによって今回、チャンスを掴んだのです。
チャンスの女神に後ろ髪はないと良く言われますが、
私は、運は自分でつかみとっていくものだと思っています。

無駄と思っても、来るかもしれないチャンスに備えて普段から準備しておく。
準備が無駄になっても良しとする。
そして本当にチャンスが来たら、そのチャンスにサッと乗ってしまう。
これが私の成功哲学です。




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手術室で教授の手術を間近に拝見しましたが、スピードが早すぎて近くで見ても、
なぜソケイ部(足の付根)から入れられたカテーテル(管)が
あんなにスルスルと目標の動脈に入っていくのか分かりませんでした。
しかし、私は手術室に入った者しか知ることができないであろう、
ある秘密を知ることができたのです。

Professor.Voglは普段、威圧的でスタッフにも患者様にも
ほとんどしゃべらない印象があります。
しかし、手術中や手術直後のほんのわずかな時間を使って
患者様に話しかけているのです。

ある患者様には、手術中に
「あなたの家族が心配して近くで座って待っているよ」
と家族の話やその人の家庭の話をしていました。
別の患者様には手術後、「手術はうまくいったが、あなたは痩せ過ぎている。
これからは健康のためにもっと太りなさい」と食事療法の指導をしていました。

それら言葉の一言一言は簡潔でしたが、愛情深く、私は心打たれました。
一見、厳しそうに見える教授ですが、そのペルソナ(仮面)の奥に隠された
患者様への深い愛情を感じ取ることができたからです。
そして、世界中から多くの患者がProfessor.Voglを訪れる
秘密の一旦を垣間見ることができたように思いました。


私の印象では、形成外科出身のドクターは、患者を人間としてでなく
物として扱う傾向があるように感じています。
手術さえしっかりやればそれで良いという観念で患者様に対応し、
患者様の心理状態を全く配慮しないことが多いように思われます。
私は出来る限り患者様の心理状態も把握しながら対応するよう心がけています。
しかし、Professor.Voglの患者様に対する愛情の深さは、
とても私の及ぶものではないような気がいたしました。

世界最高峰の医療現場を訪れ、Proffessor.Voglの
このような隠れた一面をみることができたのは、
今回のドイツ視察旅行の大きな収穫となりました。
今回の視察旅行を糧に、さらに私のもとを訪れてくれる患者様方に
素晴らしい医療を提供すべく、精進していきたいと思っております。



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全行程が終了し、ホッと一息です


目白ポセンシアクリニック





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プロフィール

永久 晶浩(ながひさ あきひろ)

Author:永久 晶浩(ながひさ あきひろ)
国立神戸大学医学部卒業
目白ポセンシアクリニック院長
https://ssl.possenssia.com/profile/
心のあり方まで含めた「美」についての総合研究者

古代ギリシアから現代アートまで古今東西の芸術的文化を研究している

主な著書に「アルファ型美人のすすめ~愛される美人vs.愛されない美人~」「『NO』と言えれば人生は開ける」

診療日誌を日々更新中

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