個性を生かした美しさ ~女必殺拳・志穂美悦子さん~



今年も早や、1ヶ月が過ぎました。

年末から自分の身体を見つめ直し、トレーニングをしていることを
前回のブログに書きましたが、身体の動かし方の参考にするため、
また、身体を動かすモチベーションを上げるため様々な動画類も見ています。

先日観て印象深かったのは、志穂美悦子さん主演「女必殺拳」です。
1974年に制作された作品ですので、もう40年近く前の映画になります。
今回、初めて観たのですが、志穂美悦子さんのキレの良い身体の動きが印象的でした。



female-dragon.jpg
女必殺拳(東映株式会社)



1970年代の作品ですので、現在からすれば過激な刺激の強過ぎる場面もございます。
好き嫌いが分かれると思いますが、私は面白く拝見いたしました。

志穂美悦子さんは、日本映画史上初の格闘をメインとし、
大部分を自分で演じて多数の作品に主演したアクション女優であり、
その後も追随する存在は出ていないと言われています。
今後も志穂美悦子さんほど身体が動かせる女優さんは
なかなか出てこないのではないかと思っています。

そんな志穂美悦子さんですが、実は女優になるための
入会試験に一度不合格になっておられるのです。
当時、千葉真一さんが大人気でした。
千葉真一さんに憧れた志穂美悦子さんは中学生の頃、
千葉真一さんのやっていたアクションスター養成所
JAC(ジャパン・アクション・クラブ)に入会のための
面接を受けたのですが、「女性らしさがない」という理由で
不合格になってしまったのでした。

陸上部所属で顔が真っ黒に日焼けし、肩幅の広い志穂美悦子さんは、
試験官から女優になるのは無理だろうと思われたそうです。

そんな志穂美悦子さんも何とかJACの試験に合格し、
持ち前の運動神経の素晴らしさを生かし、
激しいトレーニングもこなせるようにメキメキと成長していきます。

1973年ブルース・リーによって世界的に格闘技映画が流行すると、
日本でも女性が主演する格闘技映画を制作したいという企画が出ました。
他の候補女優が都合により出演できなくなり、主演女優を探していたところ、
千葉真一さんの強い推薦によって、当時まだ19歳だった
志穂美悦子さんが主役に抜擢されます。
その作品が、この「女必殺拳」でした。
映画は見事にヒットし、第2作、第3作とどんどん制作されました。

志穂美悦子さんの人気も急上昇で、当時の人気スターの
バロメーターであったブロマイドの売上が日本全国で一位となり、
以後数年間一位の座が続いたそうです。

こうやってみてみると、女性の魅力は色気だけに限らないと思います。
色気がないと言われても、志穂美悦子さんのように
自分の個性を活かせば、国民的アイドルになることもできます。
今回、志穂美悦子さんの作品を拝見し、凛とした清楚で初々しい美しさを感じました。
女らしさや色気といった固定観念を外し、自分らしい魅力を磨いていくことが
大切だと改めて思いました。

さて、今年度から中学校で武道の必須化が始まりました。
文部科学省から初めてこの案が出されたのは、確か2008年頃だったと思いますが、
当時、必須化の理由として「礼儀作法を重んじるため」と書いてあるのを読んで、
苦笑いした記憶がございます。
礼儀作法と称して、陰湿なイジメが存在することもあります。
礼儀作法を身につけたいのであれば、武道をやるより、小笠原流礼法や茶道、
国際プロトコールを学んだ方が効率的です。

私が武道を学ぶのが良いと思う理由は、武道では先手を取ることを大切にするからです。
(一部の流派に後手を大切にしている例外があります)

先手とは、相手が油断しているところをいきなり襲いかかることを言うのではありません。
実生活に例えるなら、相手が「お茶を下さい」と言おうとしているとします。

相手が言い出そうかどうか迷ってモジモジしている時に
サッとお茶を出すのが、「先(手)を取る」ということです。
さらに、相手がお茶の「お」と言いかけている時にサッと出すのが、「先の先」
「お茶下さい」と言われたら「はい、どうぞ」と、サッとお茶を出すのが
「互先(ごせん、もしくはたがいせんと読みます)」です。
「お茶下さい」という言葉に、「はい、只今」とサッと用意するのが、「後の先」です。

実際には、お茶なのか、コーヒーなのか、紅茶なのか、
相手の機嫌が悪くて何もしないでサッと引いた方が良いのか、
その時の状況によって千変万化に変化していきます。

「一葉落ちて天下の秋を知る」と中国の古典「淮南子」にありますが、
相手の気配を読みながらサッと動いていくことが、先手を取るということなのです。

基本は、「先の先」を取ること、間に合わなければ状況に応じて互先、もしくは後の先を取る。
(武道は原則として、すべて西洋でいうカウンターになります。
自分勝手に動くのでなく、相手の気配を察しながら動くのです。
西洋ではひとことでカウンターと言いますが、武道では分類がもっと細かくなるのです。
つまり、先手は、先、先の先、互先、後の先と分類することができます。
これ以外に懸(けん)の先という特殊な先手の取り方もあります。
ただし、先手の定義の仕方は、武道家、流派によって異なります)

これが武道の基本なのですが、ここまで書いてきたように
日常生活に十分応用することが可能です。

私のクリニックの顧問をしていただいている税理士の先生が私を
「先生なら美容外科でなく他の科でも十分運営していけますね」
と、褒めてくれます。
もちろん、お世辞もあるのでしょうが、先手を取ることは
クリニックの運営だけでなく、あらゆる場面に応用できます。
対人関係だけでなく、普段から前もって起こりそうなことを
予測して準備しておくことも先手を取ることです。

今、はやりの婚活活動をされている方も、婚活トレーニングの一環として、
先手を取ることを訓練していただければ、良いことが起こる
可能性が高くなっていくのではないでしょうか。

世界チャンピオンを育てたあるトレーナーは、
選手の反射神経や精神力を鍛えるため、車の運転の際、
追い越し禁止区域で追い越しさせたり、赤信号を渡らせたり、
高速道路の料金所を隙を見て振り切らせるトレーニングをしたそうです。
そうすれば世界チャンピオンになれるかもしれませんが、
一般社会で応用できない強さを育てることになってしまうと思うのです。

私自身は、クリニック開院当初から、先手を取ること、
つまり患者様の考えを予想しサッと動けるように努力して参りました。
それが、クリニックの評判に繋がっていると思うのです。

さらに私が武道から学んだことは、「小が大を制する」ということです。
大きい方が強いのが当たり前ですが、武道の発想により、
小さくても大きな者に対抗していくことができます。

具体的には、ランチェスターの法則を使っています。
ランチェスターの法則とは、イギリスの自動車工学・航空工学のエンジニア
フレデリック・ウィリアム・ランチェスターによって発表された戦闘の数理モデルです。

強い者が確実に勝っていくための戦略がランチェスターの第2法則、
そして弱者が勝つための戦略がランチェスターの第1法則です。

もっと具体的に言えば、弱者が強者に勝つためには、局地戦に持ち込むことです。

目白ポセンシアクリニックは、ひとりひとりの患者様を
丁寧に診療することでご好評をいただいていますが、
広告費をたくさんかけるクリニックでは、そんな効率の悪いことはできません。
たくさん患者様を診療していかなくては採算が合わないからです。

しかし、私のクリニックのように規模を小さくすれば、
非効率なことが可能になり、逆に強みとなっていくのです。
医師ひとりで運営するクリニックだからこそ、
ひとりひとりの患者様への診療の密度を上げることができるのです。

普通、院長が自分より腕の良い医師を雇うことはあまりありません。
理論的には、ひとり医師を雇えばその院長のレベルの医療が
できる確率は2分の1、ふたり医師を雇えば3分の1になります。
それに対して、院長ひとりで医療を行えば、確実にご来院いただく
すべての患者様に安定した質の医療を提供できるのです。
こうやって書くと、院長がすべての診療を行うクリニックの
強みがお分かりいただけると思います。
ただし、院長しか医師がいないので、風邪もロクに引けません。
常に厳しい体調管理、自己管理が要求されます。

このようなメリットを生かし、派手な広告や豪華な内装など
マス・マーケティング的な手法によらず、
ひとりひとりの患者様への診療の密度という局地戦で勝っていく、
これが「小が大を制する」ということです。

武道的精神を重んじる私にとっては、
このように小規模のクリニックが大手と堂々と
渡り合っていくことがカッコ良いことです。
もちろん、派手にやっていく方が良いという価値観もあるので、
どちらの方が良いと一概に言えないと思いますが、
少なくとも私にとって武道的精神を体現したクリニック運営法です。

今回、最後に書いておきたいことは、武道や格闘技をする人の中には、
人相が良くない人がいるということです。
他人を倒したり、壊すことばかり考えていては、人相が悪くなってきます。
自分自身の運も、周りの運も悪くしていきます。
女性でも、意地の悪い人はキレイにしていても人相が悪く見えます。

合気道の開祖・植芝盛平翁のように、争うのでなく
愛と調和の世界に生きることができれば理想的です。
しかし、そこまでいけなくても、少なくとも「我も良し、他も良し」という、
自利・利他の精神を持って生きていった方が、人相は良くなります。
自分だけが強くなれば良い、自分だけがキレイになれば良い、
自分だけが儲かれば良いといった考え方は、人相や雰囲気、オーラを悪くします。

自分の個性を生かしながら、他人のことも配慮に入れて先手を取っていく、
こんな武道的ライフスタイルも、美的生活として活用できるのではないかと思います。

ご参考にしていただければ、幸いです。



hudou.jpg
20代の頃からの愛読書
武道極意伝「不動智神妙録」(徳間書店)



gorin.jpg
中学生の時、剣道の先生からプレゼントしていただいた五輪書(徳間書店)
私の母校ではすでに武道(剣道)が必須化されていました


追記;DVD黒帯(バンダイビジュアル株式会社)



black_belt.jpg
2007年モントリオール世界映画祭 正式招待作品「黒帯」


私の世代は、「空手バカ一代」「初代タイガーマスク」から始まって
K-1の創設など、格闘技全盛時代でしたが、その分、
伝統空手は相対的に押しやられてしまったように感じます。
映画「黒帯」では、昔からある伝統空手の素晴らしさが見事に描かれています。

これまでは、映画といえばカンフーや中国拳法などが中心で、
映画でここまで本格的に伝統空手の型が使われたのは初めてではないでしょうか?
伝統空手のカッコ良さが120%表現された作品だと思いました。

配役に国際明武館剛柔流空手道連盟八木明人師範と
日本空手協会総本部の中達也師範という実際に空手を何十年も
修練してきた本物の空手家を主役としているだけあって、映像は迫力満点です。

迫力のある映像を撮るため、作品の一部分では
役者さんの代わりに本物の空手家を相手に中達也師範が本当に突きを入れ、
突きを入れられた空手家が失神したそうです。
それを見た事情を知らない一緒に演技をしていた役者さんは、
自分も本当に突きを入れられるのではないかと真っ青になったとのことでした。

日本刀を振り回す憲兵相手に中達也師範が出す突きや蹴りの
踏み込みの速さ、正確さ、迫力は、伝統空手の特徴が見事に出ていて圧巻です。
相手が刀を抜こうとした瞬間や振り上げようとした瞬間に
素早く飛び込んで出す突きや蹴りなどすべての技が
今回のブログの記事に書いた先の先のタイミングで決まっています。

伝統空手をやっている方、興味のある方にはお勧めの作品です。


目白ポセンシアクリニック


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プロフィール

永久 晶浩(ながひさ あきひろ)

Author:永久 晶浩(ながひさ あきひろ)
国立神戸大学医学部卒業
目白ポセンシアクリニック院長
https://ssl.possenssia.com/profile/
心のあり方まで含めた「美」についての総合研究者

古代ギリシアから現代アートまで古今東西の芸術的文化を研究している

主な著書に「アルファ型美人のすすめ~愛される美人vs.愛されない美人~」「『NO』と言えれば人生は開ける」

診療日誌を日々更新中

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