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医師のライフスタイル



昨日、私の身内が放射線治療を受けることになったので、
神奈川県の相模原協同病院まで付き添いとして行って参りました。

相模原協同病院の高精度放射線治療センター診療部長福原昇先生は、
ものすごい情熱で放射線治療に取り組んでおられ、
様々な独自の治療法を開発され、高い治癒率を出されておられます。

一般的に、放射線治療は
・どの施設(病院)で行なっても結果は同じ
・癌の再発予防や末期に使われる気休め的なもの
・治療効果は外科的手術や抗癌剤の方が高い
と思われています。

私も、癌先進補完医療研究会のセミナーで
福原昇先生の講義をお聞きするまでは、全く同じ考えでした。
しかし、福原昇先生の講義をお聞きして、一般的に思われている考えは
全く間違っていることに気づかされたのでした。

例えば、乳癌の患者様が放射線治療を受けるとします。
普通は、癌の部分にペンでマークを書いてそこに放射線を当てれば良いと考えます。
ところが、人間は呼吸をするので放射線治療をやっている間も呼吸をして胸が動き、
医師は癌に放射線を当てているつもりでも、光線がずれてしまって
実際には癌に当たっておらず、放射線治療が効かないということが発生したりします。
また、放射線を当てる時に、肺や心臓にもたくさんの放射線を
当ててしまって副作用が出ることもあります。

福原昇先生は、胸に金属のマーカーをつけ、呼吸をして胸が動いても、
ある位置に来た時だけ機械が認識して放射線が出るような装置を開発したり、
うつ伏せに寝てベッドの下に乳房だけが出るようにすることによって
放射線を肺や心臓など大切な臓器に全く当てることなく打てるようにし、
普通に行われている放射線治療よりずっと高い線量の放射線を
安全に当てれるようにするなど、独自の工夫をされておられるのです。



arm.jpg



movement.jpg



real-time.jpg



breast.jpg
(以上、出典:第3回癌先進補完医療研究会テキストより)



このような工夫により、同じ放射線治療でも、治療する医師によって
全く治療効果が変わってくることになります。

放射線治療は
・治療を行う医師の技量によって全く結果は変わってしまう
・特に乳癌など、外科的に手術を行うと美容的に問題が発生する症例でも
美容的形態を温存しながら完治が目指せる
(ただし、放射線治療はあくまで局所治療なので、高濃度ビタミンC点滴療法などを
組み合わせ、再発予防や体質改善を図るのが理想)
と、全く認識を新たにしたのでした。

私の身内は初めての来院であったため、
治療の説明やCTでの位置決めなどが行われました。
朝の10時に来院したのですが、終わったのは午後1時前でちょうど福原昇先生と
福原昇先生の下で働いている若い先生が私服に着替えられ、
食事に出かけられるところでした。
先生方と挨拶をして、私達も病院を去りましたが、私の身内が、
「下の先生は昼食まで上の先生にお付き合いさせられて大変ですね」と言いました。

しかし、私は、全く逆の考えでした。
「その考え方は間違っています。
私は、下の先生が優秀な先生のもとで働けてうらやましいです」と答えました。

若い医師の将来の実力は、どの先生の下で働けるかで決まってしまいます。
普通、医師は医局に所属するので、配属は医局で決められ、
医師は自分でどの先生の下につきたいかを選ぶことはできません。

私の身内は、年功序列で上がっていくサラリーマンの世界で、上司にペコペコしながら
おべっかを使って神経をすり減らしている部下をイメージしたのでしょうが、
医師の世界はそのようなものではありません。
仕事の時ばかりでなく、食事中も医学の話が延々と続きます。
そうやって実力が磨かれていくのです。

今は時代が変わりましたが、私が勤務医の頃は美容外科医になるためには
医局を飛び出して美容外科医になるしか方法はなく、医局の教授を頂点とした
厳しいピラミッド制度はなく、もっと自由な雰囲気の職場でした。

自由ということは、医局と違い、教育の義務もないのです。
実力をつけたければ、自分でやるしかないのです。
何もしなければ誰も何も教えてくれません。
私は手術がうまくて信頼がおける先生を見つけ、時間があれば手術見学、
そしてどんどん自分の疑問点をぶつけ、吸収し、実力を伸ばしていきました。

その中でも、F先生はしょっちゅう私の相手をしてくれ、食事に誘ってくれ、
食事を御馳走になりながら、いろいろと教えていただきました。
皆で食事に行き、食事が終わって店を出た後も、店の前で立ったまま
延々とふたりで手術の話を続け、一緒にいた看護師さんが
あきれて私達を見ていたことも、今となっては懐かしい思い出です。

今年の冬に点滴療法研究会で10年ぶりにF先生とバッタリと出会いました。
お互い外科医なのにどうして点滴療法研究会で出会うかなと思うのですが、
F先生は故郷の地元で開業されておられ、
「ぼくのように地方だと美容だけでなく、いろいろと患者さんの相談に
乗らないといけないんで、点滴も研究しているんだ」とおっしゃっておられました。

そして、
「今、どんな手術を多くやっているんだ」
「手術をやっていて、今持っている疑問点は何なのだ?」
など、どんどん私を問い詰めて来るのです。
それは、まるで修行中の医師を試問して鍛えている上官ドクターのような感じです。

開業医同士になると、普通、どれくらい患者が来て、どれくらい儲かっているのかなど聞かれ、
私からすればゲスい話をする先生が多く、その雰囲気が苦手で、
ついつい距離をとってしまいがちになってしまうのですが、
F先生はお互いの立場が変わったにも関わらず、
10年前のままの情熱で医療に取り組んでおられ、
私にも接してくれるので、私も心が熱くなり、嬉しくなってしまいました。
休憩時間中は、ずっとふたりで延々と手術の話をし続けていました。

福原昇先生もそうですが、自分で独り立ちするようになると、
教えてくれる人はなく、今度は自分との戦いが始まります。
誰も監視する人はいなくなるので、サボろうと思えばいつでもサボれます。
さらに向上を目指すのか、その位置で満足して止まってしまうのかは自分次第です。

以前、私のクリニックに勤めていたスタッフが、勤務して3年目くらいに、
「先生、手術がうまくなっていますね。後片付けをしていても、
昔よりガーゼについている出血量が減っているし、
患者様が帰られる時の腫れ具合もさらに少なくなっています。
手術って一度覚えればずっと同じだと思っていましたがそうではないんですね」
と言っていました。

その通りです。私は、今でも成長し続けています。
いかに腫れが少ない手術ができるか、どうすればよりきれいな仕上がりになるのか、
日々工夫して、ほんのわずかずつでも、たとえ1mmずつでも、向上し続けていくのです。

腫れを少なくする工夫として、手術の技術的にはもうこれ以上、
向上することはできないと思っています。
しかし、何十人にひとりかは、体質的に腫れやすく、
局所麻酔をしただけで腫れが出る患者様もいらっしゃいます。
こういった患者様は神経質な患者様が多く、カウンセリング時から
腫れやすそうだと前もって予想できることが多いのです。

普通の先生なら、体質で仕方ないと言って諦めるところでしょうが、私は諦めませんでした。
体質なのなら、体質を変えれば良い。そこで始めたのが鍼治療でした。
刺絡という特殊な鍼治療で、一時的にですが、
腫れやすい体質を変えることが出来るようになりました。
こうして、さらに私は腫れが少ない手術ができるようになったのです。

初めて福原昇先生の講義を受けた後、さらに個人的に
お話を伺いに相模原協同病院まで行きました。
「ぼくの講義を聞いても、後、こうやって個人的に話を聞きに来てくれる
熱心な先生がなかなかいないので嬉しいです」と、おっしゃっていただき、
いろいろと教えていただきました。

その後、福原昇先生が私に美容医療で使う
フラクセルという機械について質問されたのです。
「先生、美容医療をされないのに、どうして興味がおありなのですか?」
「フラクセルが放射線治療の役に立ちそうなんだよ」

このように、私たちは自分の専門の診療科目を超えて、
自分の治療に役に立ちそうなものを探しています。
先ほど書いた私の鍼治療もそうですし、歯科の無痛麻酔を研究したこともあります。
また、日本の鍼の打ち方は鍼管という管を通して細い鍼を打ちますが、
中国鍼は太い鍼を直接患者様にブスッと刺します。これが案外痛くないのです。
太い鍼を刺しているのにどうして痛くないのか、中国鍼の刺し方を研究したこともあります。
そのため、患者様からよそのクリニックで局所麻酔を受けた時は痛かったのに、
先生に麻酔してもらった時は痛くなかったとよく言ってもらえます。

このようにして、日々、問題意識を持ち、自分で自分を鍛えていくのです。
東洋には、教えてもらった師匠を乗り越えるのが、教えてもらったことに対する
最大の恩返しだという考え方がありますが、最近、英語でも、
“The apprentice outstrips the master.(弟子が師匠を追い越す)”
ということわざがあることを知りました。

相模原協同病院は、通院に片道1時間半近くかかる病院です。
しかし、私はせっかく受けるのであれば、
福原昇先生の治療を受けるのが良いと身内を説き伏せました。

私のクリニックにも、日本全国から、そして世界じゅうから
治療を受けに患者様が来院してくれています。
同じ治療を受けるなら、費用や時間を惜しむことなく、
自分がベストを思える治療をお受けになられるのが、
自分自身を大切にすることにつながり、
良い結果になりやすいだけでなく、
良い人生を歩んでいくことにもつながると思うのです。

自分が納得できる医師を見つけ、
自分が納得できる最高の治療を受けることが、
自分の人生を好転させていくためにも大切なのだと、
改めて認識した、今回の相模原協同病院への訪問でした。


追記;

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点滴療法でアトピー性皮膚炎を治療中の患者様からいただきました。
現代医学では難治性のアトピー性皮膚炎も点滴療法など、
特殊な治療法で改善されることがございます。
特にこの患者様は一時、高濃度ビタミンCを中心とした
点滴療法で良くなっていたのですが、秋になって症状が
ぶり返してきました。
その時、私は直観的にデトックス効果のあるグルタチオンを
追加したのですが、その後再び症状の改善が認められました。
医学の世界もなかなか難しいもので、深い専門的知識だけでなく、
時には鋭い洞察力や直観力が必要とされることがございます。



hira1.jpg



こちらは別の患者様からいただいた平泉のお煎餅です。
遠方からのご来院、ありがとうございます。



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こちらは前回のブログに出てきた、10歳の少女から
ハローウイーンのお菓子とマスコットをいただきました。

皆様、毎回の温かいお心遣い、ありがとうございます。


目白ポセンシアクリニック


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プロフィール

永久 晶浩(ながひさ あきひろ)

Author:永久 晶浩(ながひさ あきひろ)
国立神戸大学医学部卒業
目白ポセンシアクリニック院長
https://ssl.possenssia.com/profile/
心のあり方まで含めた「美」についての総合研究者

古代ギリシアから現代アートまで古今東西の芸術的文化を研究している

主な著書に「アルファ型美人のすすめ~愛される美人vs.愛されない美人~」「『NO』と言えれば人生は開ける」

診療日誌を日々更新中

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