心に光を照らす人


「一隅を照らす」

以前、私のブログで伝教大師最澄の言葉をご紹介させていただきましたが、
この言葉も最澄の言葉で、私が最も大切にしている言葉のひとつです。



伝教大師最澄画像
伝教大師最澄像



実は、この言葉は、私が開院時に自分の心の中に秘めていた言葉です。
美容外科の手術を受けたいが不安な気持ちでいる患者様、
他院で受けた手術がうまくいかず苦しんでいる患者様、
そんな方々の心に灯(ともしび)を灯したい、
そんな心意気を持って開院したのでした。

美容外科に来られる患者様の中には、単に顔を変えたい、
身体を変えたいという単純な理由だけの方ばかりではないのです。
自分を変えたいという動機の奥には、失恋であったり、いじめであったり、
様々な人生に対する苦しみ、悲しみ、不安、怒り、恐怖などが
隠されていることがあるのです。

私は、若い頃から心理療法に興味があり研究しているので、
通常の美容外科医の先生方より敏感に患者様の心の痛みが
見えてしまうことがあるのです。

その苦しみを少しでも知りたい、理解したい、癒して差し上げたい、
そんな気持ちでカウンセリングや手術に臨むこともございます。

人が悲しみや苦しみを持つ時、いくつかの表現パターンがあります。

日本人に比較的多いのが、黙り込む、ひとりで抱え込むといった
自分の感情を抑圧するパターンです。
カウンセリングの時も、心を閉ざし、ほとんど無反応な方もいらっしゃいます。
私も何とか優しい言葉をかけ、少しでも気持ちが楽になってほしいと
願いながら対応させていただくことがございます。

このパターンのバリエーションに、
ニコニコして自分の感情を隠すというのがあります。

以前、他院で埋没法手術がうまくいかず、クッキリとし過ぎて
誰から見ても明らかに不自然な二重になって
ご来院された患者様がいらっしゃいました。

明らかに不自然な顔になっているにもかかわらず、カウンセリング中も
ニコニコとした笑顔でお話されるのです。
本当は心の中では泣き出したいだろうに、その気丈な姿に私は
胸がいっぱいになりながらお話させていただきました。

「これまでよく頑張って来られましたね。
でも、そんなに頑張らなくもいいのですよ。
あなたの苦しみは理解していますよ」
心の中でそうつぶやきながら手術をさせていただきました。
そして、埋没法の糸を取り出しました。

目白ポセンシアクリニックでは、腫れはほとんどなく抜糸できるので、
このような場合、すぐその場で顔は正常な状態に戻ります。
鏡で無事元に戻ったご自身のお顔をお見せすると、これまで我慢していた緊張が
一気にほどけたようで、大粒の涙とともに大声で泣き始められました。

泣くことはカタルシス(心の浄化)になります。
私は患者様の涙が止まるまで、横で静かに見守っていました。


いただいた感想文
先日は埋没抜糸去の手術で大変お世話になりました。
他院で埋没法を受けてヒドイ顔になっていた私を救って頂き、ありがとうございます。
手術の直後に鏡で顔を見せてもらった時、元の顔に戻ったという嬉しさと、
永久先生にお願いして良かったという感謝の気持ちでいっぱいになりました。

目の引きつり感から解放されたのと、嬉しさで思わず涙が出てきてしまいましたが、
そんな私を急がせることもなく最後まで優しく接して頂きました。

永久先生は人の心の痛みが分かる方だと感じました。
受付の方も、院内の環境も全てが安心感で包まれているような気がします。
本当に感謝しています。ありごとうございました!!



また、苦しみの表現方法として、素直に表現するという方法があります。
分かりやすい表現方法なので、私どもも、しっかりと対応させていただいております。

対応に一番困る表現方法が攻撃型です。

幸い、当院にはモンスターペイシェントと
呼ばれる患者様は滅多にお見えになりませんが、
一般医療でもモンスターペイシェントという言葉が
一般的になってきました。

強引に自分の思った方向に物事を進めていこうとされる方が
残念ながらいらっしゃるのです。

しかし、現実には、攻撃型になっても、物事はすんなりとは解決しません。

刑事事件のテレビのドラマなどで、捜査官が犯人を厳しく問い詰めて
自白させるシーンがよく出てきます。
ドラマとしてはカッコ良いのですが、現実的には厳しく問い詰めれば
問い詰めるほど犯人は抵抗を示して解決しなくなっていきます。
そのため、アメリカの捜査機関では、犯人とまず友好関係を築くことを
第一の目標としているとのことです。
犯人と友好関係を築いて尋問していくと、犯人も気軽に受け答えするようになり、
油断して答えた中から矛盾点を見つけて犯罪を証明していく方法を取るのです。

相手を責めても、相手が抵抗を示し、物事は解決しません。
もし、読者の皆様が、人間関係で悩まれていたり、トラブルを抱えていたら、
一度発想を180度転換して、相手と友好関係を
築く努力をされてみられることも良いかもしれません。

それまで行き詰っていた事態が、何らかの進展を示すこともあるのではないでしょうか?

言われもないクレームをつけられ、へこんでしまわれた方がいらっしゃいました。
私は、「相手が無茶を言って、言いがかりをつけられて
おられるようにも考えられますが、相手の方も苦しんでおられるのですよ」
と言ってその方を慰めました。

私は、この考え方をベトナムの僧侶ティック・ナット・ハンから学びました。

ティク・ナット・ハンは、日本ではあまり有名ではありませんが、
西洋ではダライ・ラマ14世と並んで、現代社会における実際の平和活動に
従事する代表的な仏教者として知られています。
ノーベル平和賞の候補になったこともあります。

ティク・ナット・ハンは、ベトナム戦争の体験者ですが、
ベトナムで殺しあう兵士を見て思いました。
兵士たちは、恐怖心でいっぱいなのです。
相手が憎くて殺し合いをするというより、自分が殺されるのが怖いから、
生き残るのに必死で相手を殺すのです。
ティク・ナット・ハンは、兵士たちの心の深い部分を理解し、
たとえ自分たちにひどいことをした兵士であっても
その兵士を憎むのでなく、憐れみの心を起こしたのでした。

憐れみの心が、世の中を良くしていく第一歩になります。
ティク・ナット・ハンは、この憐れみの心を使って
非暴力に徹した平和運動を展開していきます。
憐れみの心が人々の心を照らし、世の中を改革していったのでした。

この世は恐怖で満ち溢れています。
ある人が恐怖心を持つと、怖いから自分を守るために誰かを攻撃します。
攻撃された人は、やはり自分を守るために攻撃した人に報復をします。
そうすると、最初に攻撃した人は、自分が攻撃されたと思ってさらに
恐怖心を強め、さらに攻撃をします。
このようにしてお互い恐怖心を強めあい、報復戦はエスカレートしていくのです。

ある人が不幸な気持ちでいます。
不幸な人の人生観は、不幸です。
何を見ても、何をされても不幸を感じてしまうのです。
そして、不快な気持ちで人に接するので、
接した人の気持ちも不快にしていきます。
そして、不快な気持ちをうつされた人は、
次に接した別の人を不快な気持ちにしていきます。
このようにして不幸は伝染していきます。その感染力は強力です。
この世の中は、不幸というウイルスで感染され尽くしています。


不幸をお互いにうつし合い、その不幸がさらに強くなって悪循環しています。
この悪循環の環を誰かが断ち切らなくてはいけないのです。

誰かが不幸な気持ちでいても、ある人が明るい心で接し、
その人の心を癒すことができたなら、そこで不幸の感染は止まるのです。

明るい気持ちで接してもらって幸せな気持ちになった人は、
別の人に優しく親切にすることができるかもしれません。
幸せの感染力は、不幸の感染力ほど強くはありませんが、
このように穏やかにジワジワと拡がっていくのです。


世の中のせいで、私たちが不幸な気持ちを持つのではありません。
心の持ちようで、自分自身を不幸にしているのです。


東日本大震災は、大変不幸な出来事でした。
しかし、そんな悲惨な状況の中でも、人々の心に
灯(ともしび)を灯し続けた人たちがいらっしゃったのです。

以前、You tubeに東日本大震災復興時の動画がアップされていました。
命懸けで救助活動されていた自衛隊、警察、消防隊、医師、看護師、ボランティアの方々、
各国から救援活動に来てくれた皆様の記録です。

アメリカ軍の東京・横田基地ではフィールド司令官がパイロットらに
「被曝するかもしれないが、志願者はいるか?」と問いかけたら
すべてのパイロットが参加を志願しました。

こうして日本の復興のために艦船約20隻、航空機約160機を投入し、
2万人の軍隊を動員して捜索・輸送などの支援を行う
「ともだち作戦(Operation Tomodachi)」が遂行されたのです。

私は、このような救援活動に勤(いそ)しむ人々に
人間としてのかっこ良さ、真の美しさを感じるのです。

こんなアメリカ軍の奉仕の姿に日本のボランティアの方が感動しました。
「お礼がしたい」「元気づけたい」という熱い感謝の気持ちを込め
「ともだち作戦」を展開中の米軍部隊へ
"有難うピザ"(「ARIGATO PIZZA」)を提供し、
アメリカ人と日本人の温かい心の交流があった
という心温まるお話もございます。

私のクリニックは、カッコ良くなりたい男性の方々、
美しくなりたい女性の方々がたくさんお見えになられています。

本当にカッコ良い男性、美しい女性とは、
震災地で活躍されている自衛隊や警察、消防隊、
各国の奉仕団、ボランティアの方々のような、
たとえ悲惨な状況の中でも人々の心に
光を照らしていくことのできる人だと思うのです。


私は、美容外科医という仕事を通して、ささやかながらでも、
ご来院される患者様方の心に灯を灯していきたいと思っております。

そして、読者の方々には、会社員として、経営者として、公職者として、
学生として、また、父として、夫として、母として、妻として、子供として、
様々なご自身の立場から、この世の中に灯を灯していただきたいと思います。

そうして、皆で協力していけば、
ひとりひとりの灯がたとえ小さなものであっても、
大きな明かりとなって、この世の中を
照らしていけるようになる日が来るのではないでしょうか?


追記1;
目白ポセンシアクリニックには、先生と呼ばれる患者様が多くご来院されます。
国公立医大の准教授の先生、一般病院を運営されている院長先生、
政治家の先生、教員の先生方など、お越し下さいます。

本日は、立派な先生の患者様よりBROTHERSのバウムクーヘンを頂戴いたしました。



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baum2.jpg



BROTHERSは、
『固定観念や、既存の枠に収まることなく、美味しいものを探求していく』
という姿勢で、“常にクリエイティブであること”をコンセプトに
オドロキのお菓子を提供されています。

お心遣いありがとうございました。

追記2;
この記事を書いた翌日、あるショップで今回の記事にピッタリの
こんなポスターを見かけました。


hope.jpg
皆様、暑い中、節電にご協力ありがとうございます



追記3;
目白ポセンシアクリニックには、国公立大学医学部の准教授を始め、
開業されているドクター、勤務医のドクターなど
医療関係のスペシャリストの方々も多くご来院されています。
この度は、これまで何度もお越しいただいている、
ご開業されている院長先生から、手土産をいただきました。
これも今回の記事にピッタリの仙台の名産物です。



sendai.jpg
仙台名産 阿部の笹かまぼこ

パッケージには、伊達政宗公の直筆で千代(仙台)と書かれた文字が印刷されています。

いただいた袋には、伊達政宗公の直筆和歌が印刷されていました。

入そめて 国ゆたかなる みぎりとや
千代とかぎらじ せんだいのまつ

伊達政宗公が仙台の永遠の繁栄を願って詠んだ歌です。
仙台を始め、被災に遭われた方々の1日も早い復興を祈念しております。

追記4;
面白い記事を見つけたので引用させていただきます。

「利他行為は運を引き寄せる」

これは京都大学大学院工学研究科の藤井聡教授による最新研究だが、
運のいい人はなぜ無意識に利他行為に駆り立てられるのか。
諏訪東京理科大の篠原菊紀教授が脳科学の見地からメカニズムを解説する。

「他人に褒められた時の脳の活動を調べると、金銭などの報酬を得た時に活発に働く
『線条体』と呼ばれる部位の血流が増加することがわかっています。
つまり、褒められることを、脳は金銭的な報酬と同じようにとらえているのです」

褒められることは快感を伴う。
仕事がうまくいった時や、宝くじが当たった時の喜びの瞬間、
脳内の「報酬系」と呼ばれる神経回路が働く。
脳内物質ドーパミンが大量に分泌され、非常に気持ちがよくなるが、
利他行為をしたときも同様のメカニズムで快感が得られるという。

ならば、他人から褒められるために人は利他行為を起こすのだろうか。
「他人からの賞賛は必ずしも必要ではありません。
自分や他人の行動を監視する機能を持つ内側前頭野の働きによって、
他人から褒められなくても、自らの満足によって快感がもたらされます。
一般に“社会脳”とも呼ばれる部分です」

さらに篠原氏は、社会的な利他行為をしたときの快感は、
金銭などの報酬を得たときの刺激を超え、
質の高い快感をもたらすとも付け加える。

「線条体の活動の強さ自体は、さほど変わらないのですが、
社会的な利他行為の結果得られる快感には長期的な視点が含まれていて、
もっと高次元の快感があるのです。」

(週刊ポスト2011年9月2日号より)


目白ポセンシアクリニック









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コメント

§ すごい

とても、感動しました。うるるうしました。ありがとうございます。

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プロフィール

永久 晶浩(ながひさ あきひろ)

Author:永久 晶浩(ながひさ あきひろ)
国立神戸大学医学部卒業
目白ポセンシアクリニック院長
https://ssl.possenssia.com/profile/
心のあり方まで含めた「美」についての総合研究者

古代ギリシアから現代アートまで古今東西の芸術的文化を研究している

主な著書に「アルファ型美人のすすめ~愛される美人vs.愛されない美人~」「『NO』と言えれば人生は開ける」

診療日誌を日々更新中

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