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真の豊かさとは


ホタルの季節ですね。
クリニック近くのおとめ山公園では、ホタルが養殖されています。
夏季に一般公開されることがあり、先日、ホタルの鑑賞会がございました。

私は、2006年ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士の講演会へ
数年前行った時のことを思い出しました。

ムハマド・ユヌス博士は、バングラデシュに生まれ、フルブライト奨学金を得て渡米し、
1969年にヴァンタービルト大学で経済学の博士号を取得します。
バングラデシュ独立後の1972年に帰国し、チッタゴン大学経済学部長に就任しました。

当時、バングラデシュでは、多くの人々がわずか数十ドルがないために自活できず、
貧困に喘(あえ)いでいました。
ムハマド・ユヌス博士が銀行にかけあっても、銀行はわずか数十ドルのお金であっても
貧困層の人々にお金を貸そうとしませんでした。

わずか数十ドルのお金で人々が自活でき、幸せになることができるのであれば、
自分がお金を貸そう、ムハマド・ユヌス博士はそう思い立ちます。

これが現在、2,226もの支店を持ち(2006年)、700万人を超える人々に融資し、
アメリカのニューヨークにも支店を持つグラミン銀行の始まりでした。
ムハマド・ユヌス博士は、「マイクロクレジット」と名付けた無担保の
小額融資事業を開始したのでした。

ムハマド・ユヌス博士は、講演会の中でSocial Businessという概念を話されました。
これまで、人々の役に立つ事業は、一般の利益を求める事業と区別され、
ユニセフなど慈善活動やNPOの活動として行われてきました。
しかし、ユヌス博士はそれらの活動は寄付から成り立っていることを
問題点として挙げます。

これまでの活動は、寄付が多くならなければ発展できない、
寄付がなくなれば活動が停止してしまいます。
しかし、事業が採算を取れるようにすれば、事業は永続的に活動することも
発展することもできるというのがムハマド・ユヌス博士の考えでした。
利益を追求することはしないが、採算を取れる活動にすることで
永続的に世の中の役に立つ活動ができるのです。
困っている人に対して必要なのは、援助することではなく、
自立できるようになるための支援なのです。

ムハマド・ユヌス博士は、貧困層の経済的・社会的基盤の構築に対する貢献という
理由から、2006年ノーベル平和賞を受賞します。
グラミン銀行の融資によって、生活の自活ができるようになった人、
奨学金をもらって医者になった人などたくさんの助かった人が出てきたのです。

ムハマド・ユヌス博士は、将来の自分の夢を語ってくれました。
それは、世界中から貧困をなくすということです。
貧困がなくなった社会では、子供が本で貧困という言葉を見ても
意味が分からないので、それを理解するために博物館へ行く。
博物館に貧困はこんなものだったのだよという展示があるだけだという
社会を目指しているのだと語られていました。

しかし、そんな社会が実際にできるのでしょうか?
確かに貧困から逃れることは大切です。
今日食べるものもないという社会は、大変です。
しかし、現在の社会を見ると、貧困の行き着くところは
やはり貧困でしかないという気がいたします。

貧困から脱出できたとされる日本やアメリカを考えて下さい。
バングラデシュでは、わずか数十ドルのお金を借りることができれば
人々は自活でき、幸せに暮らすことができるのです。
しかし、先進国とされるに日本やアメリカでは、数十ドル(数千円)のお金は
大金とは思われず、多くの人々を幸せにすることが難しいのです。
人々はローンを組んで借金しながら、ブランド品や高級車、住宅を買ってしまうのです。

借金まみれになりながら高級品に囲まれている、
こんな生活を豊かということができるのでしょうか?

バングラデシュの人々はわずか数十ドルしか借金はありませんが、
日本やアメリカの人々は、その1万倍もの借金を抱えている人が結構いるのです。

私は、豊かさという定義と方向性をしっかりと持たないと、
結局は人間は不幸になることしかできないのではないか
と思いました。

そして、さらに言えば、経済的に、物質的に豊かになったにしても、
人間の精神状態は、貧しいまま、もしくはさらに貧しくなってしまったというのが、
先進国の実情ではないでしょうか?

私は、個人的には、これから成長していく国が、欧米や日本など経済大国の後を
単純に追っていくのは、危険なような気がしています。

今年のおとめ山公園のホタルの鑑賞会は、仕事で間に合わず行けなかったのですが、
クリニック近くにある椿山荘の庭園で毎年夏に行われるホタルの鑑賞会へ
別の日に行ってきました。



tinzansou.jpg



多くのホタルが飛んで風情があり、とてもきれいでした。
このような自然界に存在する豊かさを感じる時、私は思わずつぶやいてしまいます。
「贅沢をするのにお金は関係ないんだ」

単純に物質的、経済的な豊かさを求めていくだけでは、限界がきてしまいます。
欲望は、満たされれば次の欲望が出てきます。満たしても、満たしても、
「もっと」「もっと」と、限りがないからです。
満たされずに欲求不満に陥(おちい)った心は、いつまでも貧しいままなのです。

精神的な豊かさを実現する簡単な方法は、他人の役に立とうとすることです。
他人のために役にたった時の喜びは、持続時間がもっと長いのです。
そして、自分のために行えることは、経済的、物理的、時間的に限られてしまいますが、
他人のために行うことは、やろうと思えばいくらでもできます。
「働く」とは、「はた(自分の周り)が楽をすることだ」と言われることがありますが、
そのような気持ちでいれば、いくらでも他人に対して奉仕することができるからです。

さらには、自分のパートナーと一緒にいる時に、素敵な時間を過ごすことも、
自分を豊かさにするための貴重な時間です。
どんな嫌なことや理不尽なことがあっても、好きな人と一緒に素敵な時間を過ごすことが
できたなら、それを忘れることができるし、明日も頑張ろうと明日への活動の活力と
することができるからです。

心の底から分かり合える友達と一緒に過ごす時間も大切です。
私はこのような素敵な関係は、友情というより、
友愛(fraternity)という言葉の方が適切だと思っています。

友愛は、ある意味、恋愛より素敵なことです。
恋愛では、愛情が憎しみに変わることがあります。
相手のことに執着し過ぎてしまうこともあります。
別れのつらさがあります。
でも、友愛には、それがないからです。

相手と離れ離れになっても、遠くにいても、それを受け入れることができるし、
互いに離れていても、相手の幸せや成功を願い続けることができるからです。
友愛の関係にまで発展させることができる友達関係はわずかですが、
わずかであるからこそ、そんな貴重な友人は大切にしたいものです。


本日は、私が好きな菓匠・清閑院でフルーツゼリーを購入し、納涼いたしました。



wagasi2.jpg



スプーンですくう時のねっとりとした感触が
ただものではなさそうな予感を感じさせます。
口に入れるとツルンとした食感があり、とろける美味しさでした。
口の中がさっぱり爽やかになり、夏に非常に良い冷菓だと思います。



wagasi1.jpg
菓匠・清閑院 左から宇治抹茶くず餅、みぞれ羹・庭清水、フルーツゼリー 



清閑院のお菓子は、どのお菓子も味が素晴らしいだけでなく、視覚的にも凝っているのです。
この庭清水は、風に揺れる葉の陰り、湧き出る清水の澄んだ音を
イメージして作られています。
小皿に盛られたお菓子を見るだけで、涼しさを感じられました。
味覚だけでなく視覚的にも味わって楽しめる、そんな風雅さがあり、
豊かさを感じさせてくれるお菓子なのです。


ブログを始めて1ヶ月経ちましたが、予想以上の反響をいただきました。

ご来院された患者様からも、
「ブログ良かったです!」
「毎回、内容が充実していますね」
「読んで元気になります」
など、おっしゃっていただいております。

その中で、
「ブログを読むと豊かな気持ちになれます」
というご意見がございました。

私は、読者の方に豊かな気持ちになっていただきたいという
想いを込めてブログを書いているので、
そうおっしゃっていただいた時、大変嬉しく思いました。

文章を読むことでも、豊かな気持ちになれるのです。
そんな観点からも、本ブログをご堪能いただければ幸いです。


豊かさとは、物質的、経済的なものだけではありません。

私たちは、普段、何気なく、豊かさとは、物質的なものや経済的なものであると
無意識のうちに限定してしまっています。
しかし、本当の豊かさとはどんなものなのか、じっくりと考えてみることが、
私たちをもっと豊かな世界へと導いてくれるきっかけになるのではないでしょうか?


目白ポセンシアクリニック




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プロフィール

永久 晶浩(ながひさ あきひろ)

Author:永久 晶浩(ながひさ あきひろ)
国立神戸大学医学部卒業
目白ポセンシアクリニック院長
https://ssl.possenssia.com/profile/
心のあり方まで含めた「美」についての総合研究者

古代ギリシアから現代アートまで古今東西の芸術的文化を研究している

主な著書に「アルファ型美人のすすめ~愛される美人vs.愛されない美人~」「『NO』と言えれば人生は開ける」

診療日誌を日々更新中

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