幸せな生き方、納得する生き方



ケニーGのコンサートに行ってきました。
夜7時の開演時、会場は真っ暗になりました。
そしてケニーGの演奏が始まりましたが、舞台は暗いままです。

ケニーGはどこにいるのだろう?

ライトが照らされると、なんとケニーGは
1階の観客席の通路に立って演奏しているのです。
そして、そのままゆっくりと通路を歩き、
また立ち止まって演奏を続けます。
ほとんど1曲を観客席で行うという
ファンにとってはたまらない演出でした。

私は、常に仕事人としての視点で日常生活も見てしまいます。
食べ物屋に入っても、どのようにスタッフを使い、
どのように客を回しているのか、どれくらい利益が出ていそうか、
内装へのこだわりや演出の仕方など、細かく見るようにしています。

以前、テレビCMもやっているマッサージ屋さんに
体調管理のため足繁く通っていたことがありました。

マッサージが終わると、待合室に案内され、
お茶を出されて少し会話をしてお会計というのが
そのお店のスタイルだったのですが
その日は大変込み合っていて、マッサージが終了しても
待合室が空きませんでした。

担当の方から「ちょっと待っていて下さい」と言われたのですが
私は、「いいですよ、ここでお茶を出して下さい」
と、ベッドに座ってそこでお茶を飲んで会計を済ませて帰りました。

すると、それからそのお店は忙しい時、
客を待合室に案内するのでなく、ベッドで接客するようになり、
稼働率を高めるようになりました。

お店の人より私の方が、その店の客の導線について
よく分かっていたのです。
店に入っても、人を見ても、このようにふっと
“見えてしまう”ことがよくあります。

ケニーGのコンサートは10数年ぶりでした。
ケニーGのことは日本で有名になる前から知っていました。
20年以上前になりますが、セラピストとして他人の身体の調整を
余暇にやっていました。

ある時、私がプロのジャズピアニストのクライアントの
身体の調整をしていました。
セッションルームでケニーG演奏のCDをかけました。
最初のワンフレーズが流れると、その人は
施術中にも関わらず目をかっと見開いて起き上がり
「先生、この演奏は誰ですか? CDをダビングさせて下さい!」
と、興奮しておっしゃったのです。
無名であっても、その当時からケニーGの演奏はそれくらい
ゾクゾクさせる魅力を持っていました。

その後ケニーGは当然のように有名になり、
私も機会があってコンサートに行きました。
その時の演奏は、「俺はケニーGだぜ!」みたいなノリで、
延々と循環呼吸で同じ音を出し続けて見せびらかすといった
音楽を聴くというよりもケニーGを見に行くという感じで、
私は進行のさせ方があまり好きではありませんでした。

ところが今回の演奏では、ケニーGは落ち着いて演奏し、
自分をあまり主張せず(主張しなくても当然主役なので目立っています)
一緒に演奏しているキーボードやギター、ドラムの人を何度も持ち上げたり、
舞台に友人を引っ張り出したりして、進行させていました。

あのケニーGが、「気遣いの人」に見えてきて、
ケニーGもきっとこの10数年間、
人間関係でいろいろ苦労してきたんだろうなと
その苦労の跡を垣間見てしまったように思いました。



kennyG_convert.jpg



ケニーGと言えば、やはりあの音、そしてあの雰囲気。
少し音を聞いただけで、身体がゾクゾクと震えてきます。

ケニーGにかかわらず、一流の人の演奏や仕事ぶりを見ていると、
俺って今まで何をしてきたのだろうと呆然としてしまいます。
そして、それがまた明日からの自分の仕事の原動力になります。
自分も一流の域で仕事ができるよう頑張ろうと意欲がわいてきます。

自分を磨こうと思ったら、常に一流のものに
触れ続けていくことが大切だと思います。
そして、一流のエッセンスを自分の潜在意識へ、
また自分の骨の髄へとしみ込ませていくのです。


このようにとても素晴らしいケニーGのコンサートでしたが、
心の片隅でどこかスッキリしない自分がいました。

俺は100%ケニーGが好きなわけではない。

そして思い出したのが、中国の古典楽器二胡(にこ)の演奏者である
ジャー・パンファンでした。
東洋の血を持つ性(さが)なのか、私はジャー・パンファンの
ゆったりした演奏の方がしっくりと来るのです。



天地蒼々  ジャー・パンファン



悠久の世界に想いを馳せながらジャー・パンファンの演奏を聴いていると、
これこそ自分の世界だと、落ち着くのです。

これは当然のことながら、ケニーGよりも
ジャー・パンファンが優れているということではありません。

易経には、自分を知りたければ、前を見て後ろを見て
右を見て左を見て上を見て下を見る。
そうすると、自分のことが分かるという考え方があります。

自分自身のことを知るのは難しいことです。
周りを見て比較していくことで、
自分自身の姿が見えてくるということなのです。

ケニーGを聴いて、自分の好みに近いけど、少しズレていることが分かります。
いろんなヒーリングミュージックを聴いて、ジャー・パンファンを
聴いた時、自分の魂が故郷(ふるさと)に帰ってきたような感じがして
「そうそう、これこれ、これこそそう」と分かるのです。

以前はもっと激しい音楽も好きでした。
特にお気に入りは、トム・クルーズのミッション・インポッシブルのテーマ曲。

仕事がハードなので、よくミッション・インポッシブルのテーマ曲を聴いて
自分を励ましていました。







しかし、最近はもっと落ち着いて仕事をしたいと思うようになりました。
何も無理やりに自分のモチベーションを上げなくても、
もっと落ち着いてゆったりと仕事をした方がかえって効率が良く、
自分も楽なことに気づいたのです。

以前のモチベーションを無理やり高めていた頃の私は、
仕事で良い結果を残して評価され、多くの患者様から頼られ、
収入も十分あり、生活も精神も充実していましたが、
今から振りかえってみると、幸せではなかったのです。

充実感と幸福感は違います。
これは他の人に言ってもあまり理解されないのですが、
充実していても、幸福でない状態があるのです。

生活の速度を落として、ゆったりとしてみる。
心をゆったりとさせ、夜ぐっすりと眠り、朝の目覚めが良く、
おいしく食事をして快便をする。
楽に深く呼吸ができる、腹の底から大笑いする。

そんな基本的なことができなければ、
幸福感は生まれないと思うようになりました。

そして、お金の使い方も大切です。

最近、面白い本を見つけました。
『「幸せをお金で買う」5つの授業』(中経出版)です。

幸福はお金で買えないという考え方があります。
また、ある程度以上の収入を得ると、
いくら収入が増えても幸福度はそれ以上
上がらないという考え方もあります。

しかし、お金によって、幸福度を上げることはできるのです。

それは物を買うことではありません。
物を買う幸福感は短時間しか続かないことが分かっています。

忙しい人は、お金で時間を買うことができます。
やらなければいけないことをお金を払って誰か別の人にやってもらい、
自分はその時間を自分の幸福のために使うというやり方ができます。

お金で経験を買うこともできます。
例えば誰か気に入った人とどこかに行くことができます。
また私のように、日本国中、時には海外までも
自分の知りたい知識を得るために
セミナーを受けまくることもできます。

私は、自分の知りたいことを知るために、また会いたい人に
会うために惜しみなくお金を使っています。

お金は無くなれば稼げば良いけど、自分のやりたいことは
自分の生きているうちしかできません。
いつかやろうと先延ばしにしていては
なかなかいつになってもやるきっかけが見つかりません。
今やるかどうかなのです。

また、自分の周りの者のために
お金を使うのも幸せなお金の使い方です。

以前、飼っている猫の具合が悪くなりました。
夜中にぐったりとしているので、ペットの救急車を呼びました。

尿を詰まらせているとのことで、導尿しておしっこを出してもらうと
元気になりました。
ペットの診療は自費なので、1回3万円以上かかりました。

次の日、日中は元気にしていましたが、
また夜中になるとぐったりとするのです。
再び救急車に来てもらいました。
導尿をしてもらい、元気になりました。

次の日も昼間は元気なのですが、
やはり夜中になるとぐったりとしてくるのです。
3回目救急車を呼び出して治療してもらい、
支払いしようとすると獣医さんの方が気を遣って、
「こんなにお金がかかって、もういいんじゃないですか!」
と、おっしゃるのです。

しかし、私にとっては自分の家族同様大切なペットです。
自分がお金をケチったために、ペットの身に何かあったら
おそらく自分で自分を許せなくなると思うのです。

3夜連続の救急車出動で10万円以上支払い、
さらにこれ以上おしっこが詰まらないように
全身麻酔下で去勢手術を行って
多額の出費となりましたが、
それをできる自分を私は誇らしく思っています。

普段頑張っている自分だからこそ、惜しげもなく
自分のペットに数十万円のお金が払えるのです。
もし、それを払わなかったら、自分は後悔するだろうし、
自信も失ってしまうと思うのです。

目白ポセンシアクリニックでは、他院で失敗し
相談をご希望の患者様から
相談料5千円をいただいています。
ところが、この5千円をケチる患者様がいらっしゃるのです。

本来、術後の相談は、手術をした医師が責任をもって行うべきです。
それをこちらで行うのに、マナーの悪い患者様もいらっしゃるので
礼節を守れる人かどうかの判断のために5千円をいただいています。

5千円しかいただけないので、私のクリニックは赤字です。
もっと効率の良い稼ぎ方があるのは分かっていますが、
困っていらっしゃる人のためにあえて赤字の仕事をしているのです。

そんなこちらの誠意もわからず、自分の大切な顔のことなのに
たった5千円の支払いにウダウダと言い続ける患者様がいらっしゃるのです。

わずか5千円の支払いにでもウダウダ言う患者様は
それ以降の治療にも非協力的で治療もうまく進んでいかないので、
当院では診療対象外とさせていただいております。

お金は自分の幸せのため、
自分の周りの人の幸せのために使うものです。
本当に必要な時、出し惜しみしてはいけないのです。


このブログを読む読者の皆様が上手なお金の使い方ができるようになり、
ご自身の、そして自分の周りの人たちのために幸福度を
上げられるようになっていただけることを願って
今回のブログを終わらせていただきたいと思います。


追記;
川西先生からコメントをいただいたので、
幸せとお金の関係についてもう少し書かせていただきます。

幸せとお金の関係について、ノーベル賞を受賞した
ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって展開された
プロスペクト理論があります。



prospect1.gif
プロスペクト理論:喜びも痛みも量に比例するのでなく、
段々効果が弱くなる。ここから、ひとつの大きな喜びを
狙うより、小さな喜びを積み重ねる方が幸福の総量が
多くなり効果的であるという結論が導き出せます。


東京大学名誉教授の養老孟司先生の「バカの壁」が
ベストセラーになると、高須クリニックの高須克弥先生が
「ブスの壁」を出版されました。

その本に漫画家・西原理恵子さんの漫画もありました。
その漫画に描かれていた話ですが、
西原理恵子さんがお金がなくて困っている時、
気前の良い高須克弥先生は、西原理恵子さんに
ポケットの財布からポンと30万円出して、あげたそうです。
しかし、30万円もらった喜びは3日しか続かなかった、
私の喜びは1日10万円というのが、その漫画のオチでした。

これが、一般の金持ちのやり方なのです。
たくさんのお金を出して自分や他人を幸せにしようとするのですが
その幸せは効果的に長続きしない。
これが、お金で幸せを買うことができないと言われる所以(ゆえん)です。

先週末の土日は研究会に参加してきました。
土曜日の研究会の後、フルコースを食べ過食気味だったので
次の日は減食して体調を整えようと昼ごはんを抜きました。

皆が食事に行ったのに、受付の女性はポツンとひとりで
業務をしていました。
「コーヒーを買いに行ってきます」と言って、
私も出かけましたが、
「いってらっしゃい」と笑顔で送り出してくれました。
私は近くのスターバックスで好物のカフェミストと
もうひとつコーヒーを注文して持ち帰りました。

「ただいま」と帰り、「どうぞ」と受付の女性に
コーヒーを差し出すと、ビックリされ、
「え~~~、どうしてですか?
良いんですか? 嬉しいです!」
と、大喜びされていました。

どうしてですかと聞かれて私の方が戸惑ってしまいました。
関東の人たちはクールで他人に無関心を装いますが、
私は関西人なので、当たり前のことでした。

関西人は親切です。
特に大阪のオバちゃんはとても親切で、飴(アメ)をくれる。
外国人でも知っている世界の常識です(笑)




ロシア系カザフスタン人ルイ 東京・大阪どっちが住みやすい?



何も数十万円も出さなくても、わずか数百円のコーヒーでも
人を感激させたり、喜ばせたりすることはできるのです。
その日の夜、とても嬉しかったですと
わざわざお礼のメールを送って来て下さいました。

仏教では、「無財の七施」というものがあります。
また、「和顔愛語」という言葉もあります。

いちいち大金を使わなくても、自分や他人を
幸せにすることはできるのです。

それは人を幸せにするのは、お金そのものや品物自体ではなく、
そこに込められた心遣いや気配りに人は感動し、幸せを感じるものだからです。


プロフィール

永久 晶浩(ながひさ あきひろ)

Author:永久 晶浩(ながひさ あきひろ)
国立神戸大学医学部卒業
目白ポセンシアクリニック院長
https://ssl.possenssia.com/profile/
心のあり方まで含めた「美」についての総合研究者

古代ギリシアから現代アートまで古今東西の芸術的文化を研究している

主な著書に「アルファ型美人のすすめ~愛される美人vs.愛されない美人~」「『NO』と言えれば人生は開ける」

診療日誌を日々更新中

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