引きこもってます(笑) ~沢庵和尚~



久しぶりのブログ更新になりました。
12月末から引きこもってます(笑)

これまでセミナーや映画鑑賞、美術館鑑賞など
外に材料を求めて出来る限り
自分を向上させるようにしてきました。
しかし、自分の壁を破るには、
外に目を向けるのでなく自分自身を
しっかりと見つめていくしかない
と思い、
本業の仕事以外の活動を一切やめ、
読書さえも控えるようにして、仕事が終わったら、
自分ひとりになる時間をしっかり確保して
ひたすら瞑想を行い、自分を見つめる
作業を行ってきました。
そのお陰で、これまで自分が超えられなかった
壁をいくつも超えることができました。

読者の皆様も、本気で自分を変えたいと
思った時は、自分ひとりになる時間を
しっかりと確保して何日も何日も自分を
見つめ続ける作業を行うと、
何か深い部分から変化していく自分を
感じることができるのではないでしょうか。


なんとなく引きこもった方が良いという
自分の直観に従ってやってみたのですが
禅の世界でも似たような
風習があることを知りました。
閉関と言って面会謝絶にして
ひたすら座禅を行うのだそうです。

引きこもり中、沢庵和尚の
逸話を急に思い出しました。
沢庵和尚は、江戸時代初期に活躍した禅僧です。
剣豪・宮本武蔵がまだ若くて獰猛で、
荒れ狂っていた時代に宮本武蔵の心を改心させた
禅僧として知られていますが、それは小説家・
吉川英治の創作であり、宮本武蔵と沢庵和尚が
出会った確かな証拠はないとされています。

私が思い出した逸話も史実なのか
怪しいとされていますが、以下のようなものです。

将軍家に朝鮮から珍しい大きなトラが献上され、
将軍徳川家光をはじめ、多くの家来が集まりました。
その中に、沢庵禅師も同席していました。

将軍徳川家光が、将軍家武芸指南役・
柳生但馬守宗矩にトラのオリに入るように
命じたのです。
但馬守は、オリの戸を開けさせて中に入り、
刀を構えて、ジリッ、ジリッっと
トラに迫っていきます。
トラは、眼をいからし、爪をむき、
今にも飛びかからんとする、すごい形相です。
但馬守と猛虎のにらみ合いが続きましたが、
ついに、トラは但馬守の威厳に屈し、
視線をそらしてしまいました。
但馬守は気を抜かずに静かに後退し、
すばやくオリの外に出ました。

将軍家光は、今度は沢庵和尚に向かって、
「どうじゃ、和尚もやってみないか」
と声をかけられると
沢庵はにっこり笑って立ち上がり、
オリの番の者が戸を開けると、
沢庵はそろそろと中に入っていきました。
なんの身支度も身構えもなく、
トラの前に進み出て、犬や猫を
可愛がるのと同じ仕草で、
トラの大きな頭をなではじめました。
但馬守と違ってすきだらけです。
しかし、虎は襲いかかろうともせず、
飼い主に愛撫される小猫のように目を細め、
尻尾を振り、沢庵の体に頭をこすりつけたのです。

家光が、「もうよかろう、禅師」と声をかけると
「さようか。おとなしくしておれ、また来るでな」
とトラに言い残し、くるりと背を向けてオリを出ました。

柳生但馬守宗矩は、対決の姿勢で、
トラに負けまいと、気迫で
虎を制しましたが、
沢庵和尚は、柔和な態度で、
トラと対立することなく、
手なづけてしまったのです。

これは、人生の極意です。

人間同士でも、争いはいつでも
どこでも起きています。
しかし争いに勝っても、
時間もエネルギーも無駄に
消耗してしまうことが多いです。
争いに勝ったとしても、本当の意味で
勝てているのか疑問に思われることが多いのです。
負けたらさらに悲惨です。

勝ち負けにこだわるよりも、和解した方が
ずっと生産的な良い結果になることが、
現実の世界では多いのです。


人生で何か起きたら、すぐに
闘いモードになって戦い始める方と
話し合いで穏やかに解決しようと
される方がいらっしゃいます。

闘いモードに入るよりも、穏やかに解決した方が
長い目で見て得なことが多いのです。


患者様の中にも、すぐに対決モードに
なる方がいらっしゃいます。
当クリニックではなるべく患者様に
喜んでいただけるよう努力しています。
何か心配なことがあれば検診に来られれば
できる限りの対応をしています。
必要があれば状況に応じて、
無料、低料金で修正の手術も行っています。

そんな話し合いをすることなしに、
いきなりケンカ腰にクレームを
つけて来られ、話がこじれて当院でも
検診等一切診療をお断わりすることに
なったり、他院で修正手術を受けられて
また気に入らないとそこでもトラブルを
起こされたりされる患者様がいらっしゃいます。

客観的に見れば損な生き方ですが、
ご本人はそれに気づくことなく、
ずっといろんな人と対決をし続けられるのです。
いつかご自身の姿に気づいて欲しいと
陰から願うしかありません。

トラはなぜ人を襲うのでしょうか?
それは、人が怖いからです。

世の中で一番残酷な動物は人間と言われています。
トラでもライオンでも、自分が満腹になっていたら、
側に獲物が居ても襲うことはありません。

人間は自分が腹いっぱいの状態でも、
もっとお金持ちになりたい、
もっと豊かになりたいと、
次から次へと動物を殺したり、自然を破壊したり、
ズル賢いことをしていきます。

そんな人間を恐れてトラは人を襲うのです。
沢庵和尚のように、自分の中から
一切の争う気持ちをなくしたら
敏感な動物たちはそれに気づき、
攻撃することはなくなるのです。
人間が平和な精神を持てるようになると、
動物でも鳥でも魚でも
寄ってくると言われています。
東洋だけでなく西洋でも、
同じようなことが言われています。
例えば聖フランチェスコの周りに
鳥が集まる話があり、それが
宗教画で描かれることが良くあります。



聖フランチェスコ
stfranch.jpg



マネしたら、ハトにコートを
ドロドロに汚されてしまいました(涙)
akihiro-nagahisa-with-pigeons.jpg



私は次の自分の精神的な目標として、
沢庵和尚のような、興奮したトラでも
おとなしくなり、なついてくるような
柔和な雰囲気を持てる人間になりたいと思いました。


沢庵和尚の精神に少しでも近づきたいと
沢庵和尚の墨蹟を購入しました。
題字は川端康成が書いています。


takuanyume2.jpg


追記;
この記事を書いて4日後、
シンクロニシティなのか
気功師がトラを気の力で
おとなしくする動画を発見しました。





言葉だけでは説得や和解が
難しいことはよくあります。
気の力で動物だけでなく人と人が
良い関係を築くきっかけが
作れると良いと思いました。


迷った時の決断法 ~悩みのバランスシート~



目白ポセンシアクリニックは、美容医療を
メインに行っていますが、
高濃度ビタミンC点滴療法をメインにして
癌患者を受け入れています。

なぜ、癌治療を? と思われることも
多いのですが、父親を食道癌で亡くし、
医療従事者としてでなく、癌患者の
家族としての立場に立った時、
日本の癌治療は病気にばかり焦点が行き、
患者様やそのご家族に対しての
配慮が少ない印象を受けています。

もちろん、ドクターもナースも激務なので
そこまで要求することはできないのですが、
それなら自分が癌患者様に肉体を元気にし、
疲れた心を癒せる空間を提供したいという
想いで行っています。

正直、高濃度ビタミンC点滴療法は
クリニックの利益にはなりません。
純粋にそのような善意の気持ちで
提供しているにもかかわらず、
なんで専門でもないのに
点滴療法を行っているのですかと
勘ぐって問い合わせをしてくる
癌患者がいらっしゃいます。

傷ついている人は、他人も平気で
傷つける言動をする人が多い傾向にあります。

自分が傷ついているから他人を思い遣れない。
他人を思い遣れないから、自分も周りから
良い反応をもらえずさらに傷ついてく
悪循環が起こっていくのです。

電話口で暴言を吐いて切られる。
そんな癌患者様もいらっしゃいます。

年末、一人の女性が飛び込みで
クリニックにご来院されました。
埼玉の方で地元で高濃度ビタミンC
点滴療法を受けているが、年末年始
そのクリニックがお休みになるので
その期間だけ、高濃度ビタミンC
点滴療法を当院で行って欲しいという依頼でした。

当院は毎年12月31日まで開院し、
1月4日から始まるので、少しでも
お力になれるのならと引き受けました。

目白ポセンシアクリニックでは、単に
点滴療法を行うのでなく、点滴中に
瞑想法や呼吸法をお教えしたり、
心の持ち方をお教えしたりしています。
単に点滴療法を行うのでなく、
身体、心、魂の部分まで見据えて
診療していきたいというのが
治療方針になっているからです。

帯津三敬病院の帯津良一先生の
「病気を治すのではない。”病気の人”を癒すのだ」
というお言葉は私もモットーにしています。




ob.jpg



今回は、年末年始の計3回しかなかったので、
心の落ち着け方(瞑想法)、身体を
元気にする方法(呼吸法)をメインにお教えしました。
1月4日の最終日です。
「先生、もう少し通って良いですか?」
と患者様からお申し出がありました。

単に点滴をするのでなく、しっかりと
患者様に寄り添ってご指導させて
いただいているので、その価値を
ご理解されたのだと思いました。
近い地元より、通うのに時間が
かかっても当院を選ばれたのです。

当初3回しか通わない予定だったので、
深入りしてはいけないと控えていましたが、
4回目は迷っている時の
決断の仕方についてお教えしました。
それが今回のブログの読者の
皆様にもお伝えしたいことです。

初めてご来院された時、カウンセリングで
今後手術を受けるのか、放射線療法を行うのか、
どんな治療方針にするのか迷っておられ、
いろんなドクターにセカンド・オピニオンを
聞いて回られておられました。

あの方法だとこんな副作用が出る。
これだとあんな副作用が出ると
おっしゃって、まったく結論が出ない状況でした。

私は4回目の治療の時、
まず「ニーバーの祈り」をお教えしました。

ラインホールド・ニーバー(1892-1971)は、
アメリカの自由主義神学者であり
政治や社会問題についてのコメンテーターでした。
「ニーバーの祈り」は、アルコール依存症、
薬物依存症や神経症の克服する
プログラムに採用され広く知られるようになりました。


ニーバーの祈り
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、
変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。
(ブログ著者(永久)により一部削除
日本語訳:大木英夫)


「世の中には受け入れるしかないことがあります。
今回は、病気の治療の副作用については
受け入れるしかないのですよ。
でも、どの副作用を受け入れるのか、
選択することはできます」
と言って、選択肢のバランスシートを書いてもらいました。

選択肢のバランスシートは、
まず大きな選択肢を列挙します。
今回であれば、
1.先延ばしにする。放置する
2.手術
3.放射線
4.その他(代替療法、自然療法、民間療法など)

大きな選択肢に枝分かれがあれば、
その枝を書いていきます。
その患者様は、手術の部分に
腹腔鏡や手術+放射線療法と書き入れていました。

そして書いたら、紙の真ん中に線を引き、
左側にその方法のメリット、
右側にデメリットを書き入れていくのです。
これがバランスシートになります。



nayami11.jpg



多くの人は悩むと頭の中だけで悩みます。
頭の中で悩むと同じ思いがぐるぐると
回っていくだけで解決に結びつきません。
頭の中で考えるのでなく、頭の中に
思い浮かんだことをひとつずつ実際に
紙の上に丁寧に書き出すことが大切です。
軽い悩みなら、悩んでいることを実際に
書き出すだけで自分で答えを見つけることができます。
深刻な悩みは、このようにバランスシートを
作ることで頭の中を整理することができます。
書いているだけで、頭の中がスッキリしてくるのです。

しかし、今回はさらに深刻でした。
その為、どのデメリットなら
引き受ける覚悟ができますか?
と迫る必要があったのです。

美容医療の診療をしていても、
手術を受けるべきか、受けるなら
どの手術を受けたら良いのか
悩まれる方は少なくありません。

そんな悩みの時も、人生のいろんな
悩みの時もこのバランスシートは役に立ちます。
強力なツールとして、ぜひ、お役立て下さい。

2017年新年のご挨拶 ~別れと新しい出会い~



明けましておめでとうございます。

昨年は入れ替わりの年となりました。
クリニック内装のリニューアルを含め、
いろんな人やものとの別れや
新しい出会いがありました。
年初もうしばらくこの傾向は続きそうです。

私だけでなく、世の中もアメリカの新大統領、
イギリスのEU脱退、天皇陛下の退位希望など
入れ替わり現象が続いています。

長く付き合うことを大切にしている人が
いらっしゃいます。
人間関係を大切にした素晴らしい考え方です。

しかし、私はその時、その場にお互いにとって
必要であり、成長を促してくれる人が
現れるという考えをしています。
だから、目の前に現れる人と全力で
付き合い、大切にします。
目の前にいる人と出会っている瞬間、瞬間は
常に真剣勝負です。
そしてお互いの学びが終わり、次のステージに
進む時が来たら、古い人間関係に
しがみつくことなく、さわやかに
別れたいと思っています。

また、どこかで会うことがあるかもしれないし、
これで終わるかもしれない。
だから、会ってる瞬間は一瞬、一瞬を
大切にしていかなくてはいけないのです。

昨年年末も12月31日まで働きました。
業務を終えたら年越しそばを食べ、
易経の卦を覚えようと紙に書きながら
眠ってしまいました。
今年の3が日の休みの間に易の64卦を
すべて暗記してしまおうというのが、
年始の目標であり、大みそかから
取り組んだのです。

元旦の日は、「最高の人生教科書 易経」
(小田全宏著)を読みました。



odaikikyou.jpg



易経はなかなか手ごわいのです。
原文はもちろん難解ですし、解説書にしても、
漢学者が書く難しく無味乾燥なものであったり、
実感のない常識論であったり、実占家が書いた
怪しげなものであったり、ひどく難しいもの、
長いもの、単純化し過ぎて幼稚なもの、
なかなかぴったりとくるものがありませんでした。

易経には何か大切なメッセージが
含まれていると思いながらも、
なかなか良い本に出会えず、何十年もしっかりと
学びたいと思いながらずっと
足踏み状態が続いていたのです。
ようやくとっかかりとの本を
見つけることができました。

そして2日は、
「易経読本」(河村 真光著)を読みました。
こちらは文句なしに素晴らしい。



ekikyoutokuhon.jpg



これでやっと易経の全貌をつかむことが
できるレベルにたどり着くことができました。
これも新しい出会いです。

よく良い人との出会いを求めて、
いろんな会合やパーティーに参加する人がいます。
しかし、なかなか良い人との出会いがないと
嘆いている人が多いように思います。
それは、
自分の成長レベルに合った人としか出会えない、
共鳴し合えないからです。


良い人や良いものと出会いたかったら、
自分が成長していくしかないのです。


私もやっと深遠な易経の世界の入り口へ
たどり着けるレベルに成長できたのだと
嬉しく思いました。

五十にして易を学べば、大いなる過ちなかるべし(孔子)
易を理解し良さを味わえるのは、人生経験を
ある程度積んでからでないと難しいと思います。
そしていったん基礎だけでも理解したならば、
易は人生を良い方向に導いてくれます。

易経はいろんな使い方ができます。
占いに使ったり、道徳の修養書として使ったり。
私の易の使い方は、自己反省や
自己成長に役立てる使い方です。

易にはそれぞれの卦に陰と陽の
6つの組み合わせの記号があります。
ひとつの記号があると、それを
陰陽まったく逆にしたり、
上下ひっくり返したりして多角的に見ていくと
さらに深い理解ができます。

例えば、姤(こう)という卦があります。
これは一番下が陰で他がすべて陽の卦です。
男性5人の中に女性ひとりが入ってきた卦として
解釈されることがあります。
5人の男性をひとりの女性が
魅惑している卦とも読み取れます。
象意は「思いがけない出会い」
「災い、騙す、女難」
危険な卦(信号)です。

この姤の錯卦(陰陽を逆にした卦)が復です。
一番下が陽で他が陰。
陰ばかりの中(絶望)にやっと陽(希望)が
芽生えたと読めます。
一陽来復という言葉がありますが、
まさにこれがその卦です。

昨年大ヒットしたスターウォーズの
スピンオフ「ローグワン」
この映画のテーマは希望で、
絶望の局面でひとつの
わずかな希望にチャンスをかける、
易経をやっている者から見れば
復の卦がテーマの映画でした。







我々人間の目というのは、バイアスがかかり、
なかなか真実を見極めることができないのです。


良い人、チャンスと思って
悪い人に騙されてしまう。
せっかくのチャンスなのに、
踏み込めないで見送り、
後でしまったと思う。
つまり、姤の卦を復と間違えたり、
せっかくチャンスが来た
復の卦なのに姤と思ってしまう。
人生は難しいものです。
姤の卦でも、惑わされている5人の男性には、
魅力的な復の女性が現れたように
見えているはずなのです。

良い人、チャンスが来たと思っても、
実は落とし穴(姤)ではないかとちょっと立ち止まってみる。
自分にとってマイナスかな、怖いなと思っても、
実はチャンス(復)ではないかと思い、
もう少し深く掘り下げて考えてみる。
そんな知恵が易経の中には秘められています。


新しい出会いは自分を成長させてくれます。
今年はじっくりと腰を据え、自分を成長させる
一年にしたいと思っています。
本年もよろしくお願いいたします。

プロフィール

永久 晶浩(ながひさ あきひろ)

Author:永久 晶浩(ながひさ あきひろ)
国立神戸大学医学部卒業
目白ポセンシアクリニック院長
http://www.possenssia.com/profile/
心のあり方まで含めた「美」についての総合研究者
古代ギリシアから現代アートまで古今東西の芸術的文化を研究している

主な著書に「アルファ型美人のすすめ~愛される美人vs.愛されない美人~」「『NO』と言えれば人生は開ける」

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