サイトのリニューアルを行い診療日誌を始めました


久しぶりのブログ更新となりました。
先日、ヒアルロン酸注入のセミナーに行った時、知り合いの先生をお見かけしたのでご挨拶したら私のブログを読まれていて、「引きこもっておられたんですね」と言われました。
「今日はムクムクと出てきました」とお答えしました(笑)。
まるで冬眠から覚めたクマのようですが(笑)。

今年の春に目白ポセンシアクリニック公式サイトのリニューアルを行いました。
そのうちのひとつの大きな改良点が診療日誌というコンテンツを加えたことです。
これは開院当初からの私の夢でした。

15年前の開院当初は、インターネットがまだ始まったばかりで、クリニックの広告と言えば雑誌など紙媒体が主流でHP自体を持っているクリニックがあまりありませんでした。

私も雑誌でのクリニックの広告を予定していましたが、これからの時代、クリニックのHPくらい持っていても良いのではないかと思い、知人にHPを作ってもらいました。

実際にクリニックがオープンすると、たくさんの人がHPを見てきたとおっしゃってご来院されました。
私はHPの内容を充実させることにしました。

当時はFlashという技術でいかに視覚的にきれいなページをパソコンの1ページの画面に収めて作るのか、高い費用を業者に払って競い合う時代でした。

しかし、当時すでにそれは本質的なことではないと私は見抜いていました。
見た目でなく中身を充実させて患者様に有益な情報を提供することがHPの本質と考え、文章がたっぷりと詰まったコンテンツをコツコツと書きためたのです。

当然、文章がたくさんあるので、パソコンの1画面に収まり切れません。
当時は業者からも注意されましたが、私はあえて当時の掟破りであった縦長のページを作りました。
そして、たくさんの患者様にご来院いただくことに成功しました。

今では当たり前になっている縦長のページづくりの手法を15年も前に実行していたのです。この先見性は、私の隠れた自慢のひとつです。

知人にHPを作ってもらう時に、「今、ブログというのが出始めました。簡単に記事が書けてアップロードできるシステムだけどどうしますか?」と聞かれました。

ブログなら毎日の自分の診療の内容や日々考えていることを書けるのでやりたいと思いましたが、患者様のプライバシーをどのように扱って記事を書いたら良いのかとか、毎日ブログを書く時間をどのように捻出するのかという問題があって、そのままにしていました。

数年後、ブログがだんだんと盛んになってきましたが、私はじっと見守っていました。
誰と会ったとか、どこに行ったとか、何を食べたという自慢話を毎日競い合うことに興味がなかったからです。

では自分なら何を書くのだろうか、何年も考え続けました。
私は美容外科医であり、外見のことばかり扱う仕事なので、ブログにはもっと生きる上で本質的な人生を向上させること、自分の心を磨くこと、魂の美しさなどについて書くことが患者様に対して意義のあることであり、自分自身も納得して記事を書き続けられると思いました。
そこまでコンセプトを煮詰めて書き始めたのが、当ブログです。

ブログを書くことで患者様のための診療時間を犠牲にすることがないようにしたかったので、しょっちゅうブログを書くことはしませんが、その期間の目安として、グーグルの検索が2週間に1度はあるということから月に2回の更新と決めました。
しかし、2週間に1度は自分が時間の捻出が厳しいので月1度の更新を目安にするようになりました。

更新頻度は少ないですが、1回の記事は練り込んで書いています。
基本コンセプトは美容に興味のある読者に役に立つ情報を提供することなので、読者が読んで良かったと思っていただく内容、質にはかなり気を遣っています。
そうすると、やはりそんなにひんぱんには書けなくなります。

多くの患者様から、ブログを読んでこのクリニックで手術を受けることに決めましたとおっしゃっていただけたので、私のコンセプトは成功したと思っています。

面白かったのは、他科のドクターもこのブログを読んでいらっしゃることでした。
ドクターである夫に内緒で当院で手術を受けた患者様が、ふと夫のパソコンを見たら私のブログが出ていてびっくりしたとおっしゃっておられました。
その先生は私のブログのファンということでした。

このようにこれまで活躍してくれた本ブログでしたが、この春から私が診療日誌を書くようになったので、更新がほとんどされなくなり、申し訳ございませんでした。

診療日誌には、毎日の私の患者様とのやり取りが赤裸々に描かれています。
私が15年前にやりたかったことがやっと実現できました。

今後、どのような更新頻度になるか分かりませんが、当ブログには、私が考える最高レベルでの人間としての向上や心の美しさ、魂の美しさについて書いていきたいと思っています。
そして、日々の診療については、診療日誌の方に書いていきます。

先日、毎日よくそれだけ書くことがありますねとご本人も医療従事者である患者様から言われました。
確かに毎日同じことの繰り返しだとおっしゃるドクターを多いです。
医療として見るならパターン化された日々の診療も、患者様ひとりひとりをしっかりと見て触れ合っていくなら、どの症例も違っていることに気がつきます。
退屈な日々の診療が、患者様と向き合うことによってドラマに変わっていくのです。

今後とも、目白ポセンシアクリニック、当ブログ、診療日誌をよろしくお願い申し上げます。


引きこもってます(笑) ~沢庵和尚~



久しぶりのブログ更新になりました。
12月末から引きこもってます(笑)

これまでセミナーや映画鑑賞、美術館鑑賞など
外に材料を求めて出来る限り
自分を向上させるようにしてきました。
しかし、自分の壁を破るには、
外に目を向けるのでなく自分自身を
しっかりと見つめていくしかない
と思い、
本業の仕事以外の活動を一切やめ、
読書さえも控えるようにして、仕事が終わったら、
自分ひとりになる時間をしっかり確保して
ひたすら瞑想を行い、自分を見つめる
作業を行ってきました。
そのお陰で、これまで自分が超えられなかった
壁をいくつも超えることができました。

読者の皆様も、本気で自分を変えたいと
思った時は、自分ひとりになる時間を
しっかりと確保して何日も何日も自分を
見つめ続ける作業を行うと、
何か深い部分から変化していく自分を
感じることができるのではないでしょうか。


なんとなく引きこもった方が良いという
自分の直観に従ってやってみたのですが
禅の世界でも似たような
風習があることを知りました。
閉関と言って面会謝絶にして
ひたすら座禅を行うのだそうです。

引きこもり中、沢庵和尚の
逸話を急に思い出しました。
沢庵和尚は、江戸時代初期に活躍した禅僧です。
剣豪・宮本武蔵がまだ若くて獰猛で、
荒れ狂っていた時代に宮本武蔵の心を改心させた
禅僧として知られていますが、それは小説家・
吉川英治の創作であり、宮本武蔵と沢庵和尚が
出会った確かな証拠はないとされています。

私が思い出した逸話も史実なのか
怪しいとされていますが、以下のようなものです。

将軍家に朝鮮から珍しい大きなトラが献上され、
将軍徳川家光をはじめ、多くの家来が集まりました。
その中に、沢庵禅師も同席していました。

将軍徳川家光が、将軍家武芸指南役・
柳生但馬守宗矩にトラのオリに入るように
命じたのです。
但馬守は、オリの戸を開けさせて中に入り、
刀を構えて、ジリッ、ジリッっと
トラに迫っていきます。
トラは、眼をいからし、爪をむき、
今にも飛びかからんとする、すごい形相です。
但馬守と猛虎のにらみ合いが続きましたが、
ついに、トラは但馬守の威厳に屈し、
視線をそらしてしまいました。
但馬守は気を抜かずに静かに後退し、
すばやくオリの外に出ました。

将軍家光は、今度は沢庵和尚に向かって、
「どうじゃ、和尚もやってみないか」
と声をかけられると
沢庵はにっこり笑って立ち上がり、
オリの番の者が戸を開けると、
沢庵はそろそろと中に入っていきました。
なんの身支度も身構えもなく、
トラの前に進み出て、犬や猫を
可愛がるのと同じ仕草で、
トラの大きな頭をなではじめました。
但馬守と違ってすきだらけです。
しかし、虎は襲いかかろうともせず、
飼い主に愛撫される小猫のように目を細め、
尻尾を振り、沢庵の体に頭をこすりつけたのです。

家光が、「もうよかろう、禅師」と声をかけると
「さようか。おとなしくしておれ、また来るでな」
とトラに言い残し、くるりと背を向けてオリを出ました。

柳生但馬守宗矩は、対決の姿勢で、
トラに負けまいと、気迫で
虎を制しましたが、
沢庵和尚は、柔和な態度で、
トラと対立することなく、
手なづけてしまったのです。

これは、人生の極意です。

人間同士でも、争いはいつでも
どこでも起きています。
しかし争いに勝っても、
時間もエネルギーも無駄に
消耗してしまうことが多いです。
争いに勝ったとしても、本当の意味で
勝てているのか疑問に思われることが多いのです。
負けたらさらに悲惨です。

勝ち負けにこだわるよりも、和解した方が
ずっと生産的な良い結果になることが、
現実の世界では多いのです。


人生で何か起きたら、すぐに
闘いモードになって戦い始める方と
話し合いで穏やかに解決しようと
される方がいらっしゃいます。

闘いモードに入るよりも、穏やかに解決した方が
長い目で見て得なことが多いのです。


患者様の中にも、すぐに対決モードに
なる方がいらっしゃいます。
当クリニックではなるべく患者様に
喜んでいただけるよう努力しています。
何か心配なことがあれば検診に来られれば
できる限りの対応をしています。
必要があれば状況に応じて、
無料、低料金で修正の手術も行っています。

そんな話し合いをすることなしに、
いきなりケンカ腰にクレームを
つけて来られ、話がこじれて当院でも
検診等一切診療をお断わりすることに
なったり、他院で修正手術を受けられて
また気に入らないとそこでもトラブルを
起こされたりされる患者様がいらっしゃいます。

客観的に見れば損な生き方ですが、
ご本人はそれに気づくことなく、
ずっといろんな人と対決をし続けられるのです。
いつかご自身の姿に気づいて欲しいと
陰から願うしかありません。

トラはなぜ人を襲うのでしょうか?
それは、人が怖いからです。

世の中で一番残酷な動物は人間と言われています。
トラでもライオンでも、自分が満腹になっていたら、
側に獲物が居ても襲うことはありません。

人間は自分が腹いっぱいの状態でも、
もっとお金持ちになりたい、
もっと豊かになりたいと、
次から次へと動物を殺したり、自然を破壊したり、
ズル賢いことをしていきます。

そんな人間を恐れてトラは人を襲うのです。
沢庵和尚のように、自分の中から
一切の争う気持ちをなくしたら
敏感な動物たちはそれに気づき、
攻撃することはなくなるのです。
人間が平和な精神を持てるようになると、
動物でも鳥でも魚でも
寄ってくると言われています。
東洋だけでなく西洋でも、
同じようなことが言われています。
例えば聖フランチェスコの周りに
鳥が集まる話があり、それが
宗教画で描かれることが良くあります。



聖フランチェスコ
stfranch.jpg



マネしたら、ハトにコートを
ドロドロに汚されてしまいました(涙)
akihiro-nagahisa-with-pigeons.jpg



私は次の自分の精神的な目標として、
沢庵和尚のような、興奮したトラでも
おとなしくなり、なついてくるような
柔和な雰囲気を持てる人間になりたいと思いました。


沢庵和尚の精神に少しでも近づきたいと
沢庵和尚の墨蹟を購入しました。
題字は川端康成が書いています。


takuanyume2.jpg


追記;
この記事を書いて4日後、
シンクロニシティなのか
気功師がトラを気の力で
おとなしくする動画を発見しました。





言葉だけでは説得や和解が
難しいことはよくあります。
気の力で動物だけでなく人と人が
良い関係を築くきっかけが
作れると良いと思いました。


迷った時の決断法 ~悩みのバランスシート~



目白ポセンシアクリニックは、美容医療を
メインに行っていますが、
高濃度ビタミンC点滴療法をメインにして
癌患者を受け入れています。

なぜ、癌治療を? と思われることも
多いのですが、父親を食道癌で亡くし、
医療従事者としてでなく、癌患者の
家族としての立場に立った時、
日本の癌治療は病気にばかり焦点が行き、
患者様やそのご家族に対しての
配慮が少ない印象を受けています。

もちろん、ドクターもナースも激務なので
そこまで要求することはできないのですが、
それなら自分が癌患者様に肉体を元気にし、
疲れた心を癒せる空間を提供したいという
想いで行っています。

正直、高濃度ビタミンC点滴療法は
クリニックの利益にはなりません。
純粋にそのような善意の気持ちで
提供しているにもかかわらず、
なんで専門でもないのに
点滴療法を行っているのですかと
勘ぐって問い合わせをしてくる
癌患者がいらっしゃいます。

傷ついている人は、他人も平気で
傷つける言動をする人が多い傾向にあります。

自分が傷ついているから他人を思い遣れない。
他人を思い遣れないから、自分も周りから
良い反応をもらえずさらに傷ついてく
悪循環が起こっていくのです。

電話口で暴言を吐いて切られる。
そんな癌患者様もいらっしゃいます。

年末、一人の女性が飛び込みで
クリニックにご来院されました。
埼玉の方で地元で高濃度ビタミンC
点滴療法を受けているが、年末年始
そのクリニックがお休みになるので
その期間だけ、高濃度ビタミンC
点滴療法を当院で行って欲しいという依頼でした。

当院は毎年12月31日まで開院し、
1月4日から始まるので、少しでも
お力になれるのならと引き受けました。

目白ポセンシアクリニックでは、単に
点滴療法を行うのでなく、点滴中に
瞑想法や呼吸法をお教えしたり、
心の持ち方をお教えしたりしています。
単に点滴療法を行うのでなく、
身体、心、魂の部分まで見据えて
診療していきたいというのが
治療方針になっているからです。

帯津三敬病院の帯津良一先生の
「病気を治すのではない。”病気の人”を癒すのだ」
というお言葉は私もモットーにしています。




ob.jpg



今回は、年末年始の計3回しかなかったので、
心の落ち着け方(瞑想法)、身体を
元気にする方法(呼吸法)をメインにお教えしました。
1月4日の最終日です。
「先生、もう少し通って良いですか?」
と患者様からお申し出がありました。

単に点滴をするのでなく、しっかりと
患者様に寄り添ってご指導させて
いただいているので、その価値を
ご理解されたのだと思いました。
近い地元より、通うのに時間が
かかっても当院を選ばれたのです。

当初3回しか通わない予定だったので、
深入りしてはいけないと控えていましたが、
4回目は迷っている時の
決断の仕方についてお教えしました。
それが今回のブログの読者の
皆様にもお伝えしたいことです。

初めてご来院された時、カウンセリングで
今後手術を受けるのか、放射線療法を行うのか、
どんな治療方針にするのか迷っておられ、
いろんなドクターにセカンド・オピニオンを
聞いて回られておられました。

あの方法だとこんな副作用が出る。
これだとあんな副作用が出ると
おっしゃって、まったく結論が出ない状況でした。

私は4回目の治療の時、
まず「ニーバーの祈り」をお教えしました。

ラインホールド・ニーバー(1892-1971)は、
アメリカの自由主義神学者であり
政治や社会問題についてのコメンテーターでした。
「ニーバーの祈り」は、アルコール依存症、
薬物依存症や神経症の克服する
プログラムに採用され広く知られるようになりました。


ニーバーの祈り
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、
変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。
(ブログ著者(永久)により一部削除
日本語訳:大木英夫)


「世の中には受け入れるしかないことがあります。
今回は、病気の治療の副作用については
受け入れるしかないのですよ。
でも、どの副作用を受け入れるのか、
選択することはできます」
と言って、選択肢のバランスシートを書いてもらいました。

選択肢のバランスシートは、
まず大きな選択肢を列挙します。
今回であれば、
1.先延ばしにする。放置する
2.手術
3.放射線
4.その他(代替療法、自然療法、民間療法など)

大きな選択肢に枝分かれがあれば、
その枝を書いていきます。
その患者様は、手術の部分に
腹腔鏡や手術+放射線療法と書き入れていました。

そして書いたら、紙の真ん中に線を引き、
左側にその方法のメリット、
右側にデメリットを書き入れていくのです。
これがバランスシートになります。



nayami11.jpg



多くの人は悩むと頭の中だけで悩みます。
頭の中で悩むと同じ思いがぐるぐると
回っていくだけで解決に結びつきません。
頭の中で考えるのでなく、頭の中に
思い浮かんだことをひとつずつ実際に
紙の上に丁寧に書き出すことが大切です。
軽い悩みなら、悩んでいることを実際に
書き出すだけで自分で答えを見つけることができます。
深刻な悩みは、このようにバランスシートを
作ることで頭の中を整理することができます。
書いているだけで、頭の中がスッキリしてくるのです。

しかし、今回はさらに深刻でした。
その為、どのデメリットなら
引き受ける覚悟ができますか?
と迫る必要があったのです。

美容医療の診療をしていても、
手術を受けるべきか、受けるなら
どの手術を受けたら良いのか
悩まれる方は少なくありません。

そんな悩みの時も、人生のいろんな
悩みの時もこのバランスシートは役に立ちます。
強力なツールとして、ぜひ、お役立て下さい。

プロフィール

永久 晶浩(ながひさ あきひろ)

Author:永久 晶浩(ながひさ あきひろ)
国立神戸大学医学部卒業
目白ポセンシアクリニック院長
http://www.possenssia.com/profile/
心のあり方まで含めた「美」についての総合研究者
古代ギリシアから現代アートまで古今東西の芸術的文化を研究している

主な著書に「アルファ型美人のすすめ~愛される美人vs.愛されない美人~」「『NO』と言えれば人生は開ける」

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